第136話 まずはミナスを目指し、いざ北西へ
「……で、サイ。私たちは一体どこへ向かっているの?」
突然そう切り出してきたのはノエルだ。
これは至って真っ当な質問だ。むろん俺には答える義務がある。何しろ旅の友だからな。できる限り隠し事はなしでいきたい。
「前に話した通り、俺が何としてでも寄りたいのは『ランドコール』という場所だ。そこに行く途中に『ミナス』という街があるから、まずはそこへ行こうか。それなりに大きな街らしいぞ」
「そうね。その案でいいと思うわ。もし私たち姉妹も魔法が手に入れば御の字といったところね」
「ユエも新しい魔法が欲しい!」
「そうだな。ミナスは土石魔法が習得できる石碑があるらしいから、まずはそれが目標ということでいいか?」
「えぇ、もちろん。異存ないわ」
こうして俺たちが取るべき進路が確定したところで、改めて地図を見てみる。ミナスの街はサンローゼから約55キロといったところ。そんなに遠くないな。
今のところ道も悪くないし、それぞれが身体強化スキルを発動すれば今日中に余裕で到着できるだろう。
「そろそろ通行人がいなくなったし、身体強化スキルを使っていこうか?」
「もちろんいいわよ!」
「うん、大丈夫!」
何を隠そう、俺が渡した魔法陣の紙でノエルもユエも身体強化スキルを習得済みだ。これについては手の内をさらす必要はない。
そして小一時間が経過した。
うん?
道の前の方に何やら巨大な物体が見える。
もしかすると魔物なのか?
いや、それよりも……。
その物体の前に人間が倒れている……、しかも数人も!
「手前でスピードを落としてゆっくりと近づくぞ」
そう指示して、身体強化スキルの効果を下げながら奴に近づいていく。もちろん慎重に。
何だろう、あれは?
そうか、ヘビか!
長さ20メートルはあろうかという大蛇がそこにいた。
こうして魔物を刺激しないように慎重に様子を伺いながら近づいてみる。
「えっ!?」
思いがけずユエが驚きの声を発する。
「ウソ!?」
ノエルも動揺している。
「あぁ。なんてことだ!」
よく見ると大蛇の口元から人間の足がはみ出している。これは……。食事中だったんか、ワレ。
そして既に息絶えていると思われる冒険者が2人、その大蛇の近くに倒れている。やっぱり、これから彼らも餌になってしまうんだろうな。
「これって、『ポイズン・アナコンダ』よね!? Bランク相当の強い魔物よ。今は食事中だから逃げられるけど……」
う~ん。
確かにノエルの言っていることは正しい。
今は食事中だから我々は難なく逃げられるし、目の前を通り抜けることは容易いだろう。
だが、これを放置しておけばさらなる犠牲者が出てしまうかもしれない。
それはちょっと気分が悪いな。
しかもその食事の内容が人間とくれば尚更だ。
「とりあえず倒してしまおうか。もしかすると他の冒険者が犠牲になるかもしれないからな。そして魔石を回収してミナスで売ろう」
「うん、それでいい」
「賛成よ!」
こうして賛同したもらったところで攻撃態勢に移る。
「この魔物の効果属性を知っていたりするか?」
「詳しくは知らないわ。でも里で聞いた話だと、湖に引きずり込んで沈めてしまったことがあるらしいわ」
「初めて聞いたな。そんな倒し方があるとは!」
さて、この目の前のデカブツをどうやって調理したものか。
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