5.寝起き②




「しょうがない、みっちゃんを布団から出してあげよう」


冬馬は抱いていた腕を解いた。

もう暑さで限界だったし、てっきり布団を剥ぎ取ってくれるんだ、と思っていた矢先、急に目の前が暗転する。同時に唇に柔らかいものが当たった。甘い吐息が互いの唇から漏れる。


「……んん…」


私、今、キっキスされてる……

熱い、暑い、熱い、暑い

さっきは寝起きだったけど、やっと目が覚めた状態でのキスは、正直、心臓に悪い…


「ん~ん~」


口の隙間から声を必死に出して訴える。

すると、冬馬が顔を放した。


「あ~ごめんごめん、息苦しいよね、順番間違った」


私、起きたばっかりなのよ?

順番とかいう問題じゃない!


「みっちゃんの布団剥がすよー」


知らないうちに布団をペリッと剥がされた。初夏の季節で薄い部屋着を着ていたが、汗でべっとべとだった。

喉カラカラ…それに着替えたい…


「みっちゃん、汗かいたね。まずは、水分補給しよ?」


冬馬は、冷やされたルイボスティーの入ったグラスを持ってきた。冬馬は突然、ルイボスティーを口に含む。そして、


「…ん、ふぁ…ん、はぁ…」


口移しで飲まされた…

冬馬の生暖かい唾液でとろみを帯びたお茶が注がれる。グラスがなくなるまで何回も繰り返された。

ゴクリ、ゴクリ、ゴクリ…

唇の両端からお茶が溢れ、顎を首筋を伝う。

冬馬は時々それを舐め取りながら、口移しをする。

全然、飲んだ気がしない…

身体は火照る一方だ。


「みっちゃん、美味しかった?」


「い、いきなり何するのよ!…普通に渡してくれれば良いでしょ!」


「だって、火照ったみっちゃんが可愛いかったから…あっ!服もびちょびちょだね、お着替えしよ」


そして、スパッと脱がされた。寝る時はブラはつけておらず、胸が剥き出しになった。谷間は汗でぐっしょり濡れている。

いつも見られているとはいえ、やっぱり羞恥心は拭えない。私は胸を両手で隠した。

冬馬は気にする素振りもなく、ニコッとする。


「みっちゃん、一緒お風呂入ろ?汗とお茶で気持ち悪いでしょ?僕がシャワー流してあげる」


そして、ひょいっと横抱きにされ、風呂場に連れていかれた。

冬馬のスピードに全然ついていけない私…

もうされるがままになっている。


「ちょっと、冬馬、良いってば、着替えるだけで。それに早くブラつけさせて、恥ずかしい…」


汗疹あせも出来たら大変だもん、身体綺麗に流したら、僕がブラつけてあげる。みっちゃんは何もしなくていいから、僕に任せて」


そして、最後に身につけていたショーツも脱がされ、風呂椅子に座らされた。冬馬が目の前で服を脱ぐと、細身の筋肉があらわになる。顔がカァッと赤くなって、思わず目を逸らす。冬馬はシャワーの蛇口をひねり、お湯が勢い良く噴き出す。シャワーを流したまま、私は正面から抱き締め、立ち上がらせた。

素肌が密着し、唇がまた重なる……


「ん…ふぁ…ふ…んん……」


シャワーの水温と唇を啄むようなリップ音だけが浴室を支配する。

さっきより激しい、欲情を唆るキス…

冬馬は背中に手を当て、背骨をしならせた。

膨らみはぷにゃっと潰れる。

もっと冬馬を感じたい……

そんな衝動で冬馬の背中に腕を回し、もっと密着を強める。それに反応するかのように、唇付けが激しくなる。舌で舌を貪りながら、あふれる唾液が止めどない。それらを一滴もこぼさないように舌と唇で絡め取る。

そのまま、湯船の向かい側の壁に追い詰められ、背中に壁が当たった。

臍下辺りに冬馬の熱が怒張しているのを感じる。


「ふぁ…ん…んん…とう…ま…」


冬馬はゆっくりと唇を剥がした。そして、


「みっちゃん…もう限界…」


片脚を持ち上げられ、下からドンっと突き上げられた。


「はんっ…あんっ…はぁ…あん…」


冬馬の熱いたけりがミチミチと狭い膣の中に侵入してくる。奥の子宮に向かってどんどん前進する。


「美琴、好きだ好きだ…俺、美琴好き過ぎておかしくなりそう…」


冬馬は、腰を強く引き寄せながら、再び唇を重ねる。それはしゃぶりつくさんかぎりの激しい口付けだった。


「んん…ふぁ…んふ…ん……ひゃんっ!!」


子宮口にコツンと冬馬の先端が当たった。

その刺激で、普段の何倍も甘く色っぽい声が鳴る。冬馬が色気のある低音で囁く。


「美琴と俺、今キスしてる」


「んん…言わないで…」


冬馬の言葉の意味に羞恥心で悶えるが、冬馬は気にせずゆっくり抽送する。そして、だんだん激しさを増し、冬馬の理性も歯止めが効かなくなっていた。


「美琴美琴美琴美琴美琴美琴!!」


「っあん…はん…冬…馬…そんなに激しくしないで…」


「ごめん…俺、しばらく美琴に優しく出来そうにない、続き、ベッドでしよ?」


そう言って、一旦抜き取り、私を抱き上げると、シャワーの蛇口を止め、さっきまで寝ていたベッドに直行した。

濡れた身体のまま仰向けに寝かされた。

冬馬が私の身体の上を跨ぎ、濡れ髪をかきあげる。

色気やばい……身体の奥がキュンと疼く。

いつもとは違う、獰猛な冬馬に抱かれる自分に興奮しているのが身体で分かる。


「美琴……綺麗だ…愛してる…」


手を顎に添えられ、深い口付けをされた。


クチュクチュ クチュクチュ


「んっふぁ…んん…んん…んふぁ…」


濃厚なキス攻撃に頭が朦朧としながら考えていた。

起きてから、冬馬と何回キスしてるんだろ。

今まで、私のこと、こんなに深く重く愛してくれる人なんていたっけ。

いや、いない…

冬馬だけだ…

冬馬がいなくなったら…

私…どうなるんだろ。

急に不安な気持ちが込み上げる。


冬馬の首に腕を回し、身体をキューッと密着させる。すると、冬馬は私の不安を汲み取ったのか、私の肩と背中をギュッと抱き締めた。


「冬馬…」


「みっちゃん、今日はずっとこうやってくっついていよ?大丈夫、僕はずっとみっちゃんの傍にいるから」


「…うん」


冬馬はいつも、私の気持ちを察してくれる。

自分の気持ちを素直に言い出せず、ついイライラ口調になる私は昔から人に嫌われやすい性格だった。それに、私は過去のことをいつまでも引きずってしまう。こんな私のこと、本当に好きになってくれる人なんていないよね…


でも、こんな私でも冬馬は好きだと言ってくれる。愛してると言ってくれる。傍にいると言ってくれる。強引なところもあるけど、その強引がまた嬉しい。

いつまでもいつまでもこうしていたい…

冬馬が傍にいてくれるだけでいい。

私は冬馬さえいればそれで…


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