side新入生 

【新入生】


私は今年の卒業式に出れたことを一生忘れません。

58期生として青葉高校に通うことが出来たことを心から感謝します。


一般入学でなんとかスベり込みだったとしても、本日の卒業式に出席できたことを生涯忘れることはない。


生徒会長をされた倉峰飛鳥先輩の挨拶が終わり、次期生徒会長である黒瀬月先輩が挨拶をしていく。


お二人とも凄く綺麗な方々で、倉峰先輩は文武両道で勉強だけでなく運動なども得意で、将来は弁護士になるため大学進学をなされたとお聞きしました。


黒瀬先輩も、モデル業と学生を兼任しながら首席を維持しているのは、完全無敵の氷の才女の異名はさすがです。



お二人とも毅然とした態度で卒業の挨拶、在校生の挨拶を終えられて、卒業証書授与に移行していくと思っておりました。


ですが、司会者の方が意外な人物の名前を呼び上げました。


「男子応援団、黒瀬夜さん」


会場中に大歓声が上がる。


それもそのはずだ。


青葉高校を目指した者のほとんどは、黒瀬夜先輩を一目見たくて入学した者がほとんどなのだ。


黒瀬先輩は、男子応援団を設立しただけでなく。

天才YO!HEY!を見出して、世界へ進出させ。

ご自身も【邪神様】として、プロアーティストとして活動もされているのだ。


私も何度動画を再生したのかわからない。


伝説の囁きライブは今でも動画再生数世界トレンド一位を抜かれていない。


「ご紹介されました黒瀬夜です」


本物の夜先輩が声を発せられておられる。

それだけで私の目には涙があふれ出してきた。


夜先輩は三年になられてからは、あまり学校に来られていなかったので、お姿を見る機会も少なくて、こうしてしっかりとした姿でお話をされている姿を生で見られるなんて……


「えっと、サプライズでいきなり話してほしいと言われたので、何も考えていません。でも、頑張って話しますので、しばらく皆さんのお時間をください」


全ての時間を捧げます!!!


「いきなり静かになったね。ハハ、ちょっと緊張するけどいきます」


夜先輩が深呼吸をして息を整える。


「まずは、母さん。今まで育ててくれてありがとう。こうして高校を卒業できて成人を迎えることが出来ました。そして、妹のツキ。今まで家族として至らない点を助けてくれてありがとう」


ご家族への配慮……優しい。

きっと良いご家族なんだろうな……やっぱり夜先輩は、男性だけど女性にも優しいんだ。


「先生方、異性の男性である僕らは大変な生徒だったと思います。学校に楽しく来れたのも先生たちの配慮があったからだと思います。ありがとうございました」


夜先輩の言葉に先生たちから涙ぐむ声が聞こえる。


「クラスメイト、同級生の皆さん」


「「「「はい!!!!」」」


三年生たちが呼びかけに応える。


「はは、卒業式なのに元気だな。


皆が居たから、体育祭、青葉祭、勉強する日々が凄く楽しかった!

色んな人がいて、色んな景色がある。

俺は男子応援団団長、黒瀬夜としていつまでも皆のことを応援してるからな!!!」


三年の先輩たちに対して親しそうに敬語を崩して語りかける姿に私は羨ましくも、夜先輩の優しさが伝わってきて、先輩達の涙に私も涙が流れました。


「最後に!男子応援団!!!」


夜先輩がマイクの前に出ると、大きな声で男子応援団と叫ぶと……三年の男子応援団員が姿を見せました。


「僕らは今日をもって青葉高校を卒業します。今まで本当にありがとうございました」

「「「「ありがとうございました!!!」」」」


夜先輩以外の男性達も学校ではほとんど見ることがありません。

女性とお付き合いされている男子応援団は私たちにとっての希望です。


手が痛くなるのも忘れて私は拍手をしました。

それは私だけじゃなく、この場で夜先輩の話を聞いていた女性全てが私と同じ気持ちだったと思う。


卒業式が終わるまで、私は涙を止めることが出来ませんでした。

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