第102話 日本の観光
朝にニュースを見ていると、海外セレブの来日が連日報告されている。
こんなエンタメニュースに興味を持つようになった自分も芸能関係者だと思うと不思議な気分になる。
「へぇ~今日も海外から日本にセレブが来日したのか……何かあるのかな?」
学校に行く前の短い時間にやっているエンタメを見るのが日課になっている。
アナウンサーをしている女性が美人だということもあるが、自分が生きている世界がどんなところなのか興味を持とうと思ったからだ。
夜には事件や事故なんかのニュースも見るようにしているが、起きてからゆっくりとテレビを見る時間がないのでついついエンタメばかりになってしまう。
「へぇ~〇〇国の王女様まで来日するのかよ。うわ~スゲー大金持つのセレブまで。行きたい旅行先ランキング一位は伊達じゃないね日本。
海外セレブなら日本に土地とか買って別荘とか持ってそうだな。
まぁ一時的なら高級ホテルとかなのかな?」
勝手な憶測を思い浮かべながら用意を終えて、テレビを消して学校に行く準備を完了する。
「兄さん。そろそろ出ましょう」
「ああ」
学校まではタエの車でツキとユウナと一緒に登校している。
【邪神様】として活動すること伝えてからは、彼女たちから強い要請によって護衛の強化も行われたので別車両がついてきている。
それ以外にもレイカから東堂家の暗部をつけると言っていたが、姿を見たことはない。
「ヨル~」
ユウナは毎日、俺を見ると抱き着いてくる。
なんでもヨルエネルギーを充電しているそうだ。
ユウナの行動を見てから、ツキとタエも列を作って並ぶので、最近は時間に余裕をもって三人を抱きしめてから家を出るようにしている。
「そういえば最近は海外セレブの来日が多いんだな」
先ほどニュースで見たエンタメを話題に上げる。
「みたいですね。日本よりも海外の方が男性減少かは深刻だそうなので、もしかしたら男性を物色に来ているのかもしれませんね」
ツキの話で男性減少が海外の方が深刻だという情報を知る。
レイカに婚約者がいたように海外のセレブなら、男性は確保していると思うが、意外にそうでもないのかな?
「私も見たよ。なんでも世界の大物が日本に来るって話題になってるよね。
日本で大きなイベントでもあるのかな?」
「ワタスは全然知りませんが、なんだか賑やかでお祭りみたいですね」
「そうだな。まぁ海外のセレブたちも息抜きに来てるんだろうな」
四人で仲良くそんな話をしていると、すぐに学校へついてしまう。
学校に着けば、それぞれの教室へと別れていく。
ツキは一年の校舎へ。
ユウナは運動部へ。
タエは護衛の控室へ。
俺は二年の進学科校舎へ。
校舎前にはツユちゃんが待っていてくれるので一緒に教室へ向かう。
「おはよう。ツユちゃん」
「おはようヨル。聞いて」
いつもはのほほんとマイペースなツユちゃんだが、今日は真剣な顔で俺を迎える。
「どうかしたの?」
「危険が迫ってる」
「危険?」
ツユちゃんはレイカに次ぐ資産家で、実質暗部の管理はツユちゃんが主体で行っている。
そのため何かあったとき情報はツユちゃんに伝えられるようになっている。
「どうかしたのか?まさかレイカに何か?」
「違う。危険なのはヨル」
「俺が危険?最近は護衛も増えて変な奴らに構られる機会は確実に減ってるぞ」
「うん。でも危険。危ないことはないと思うけど。気をつけて」
「まぁどんな危険があっても、俺も修羅場を結構潜ってきたつもりだからな。大丈夫だ」
レイカの時のようなことはもう二度と起きない。
そのための護衛は強化されている。
「うん。信じてる」
ツユちゃんは、他の彼女たちと違って少し不思議なところもあるので、警戒は必要だと思う。
レイカからもたらされる情報と、ツユちゃんが感じる危険。
いったいこれからどんなことが起きるのか不安だけど。
警戒を続けよう。
授業が始まる前に、テルミとランにも連絡をしておく。
ランとはなかなか会う機会が無いのだが、今度【邪神様】との撮影の際はランに協力してもらうことが決まっている。
モデルをしているツキとランを従えるような形で撮影を行うのだ。
募集をかけてもいいと思ったが、彼女たちがそれはダメだと言うので従うに限る。
「これから危険なことがあるかもしれない。みんなも十分に気をつけてほしい」
俺から警告するだけで、二人は賢いので察してくれる。
レイカが大学や家業で忙しいこともあり、最近はテルミとランが彼女たちのリーダー的存在になっている。
二人に伝えておけば、大抵のことは情報が回るのでこれで問題ない。
「おはよう、セイヤ」
「やぁ。ヨル。おはよう」
隣の席のセイヤに声をかけながら、席に座るとセイヤが今朝の話題を振ってくる。
「最近は海外セレブが来日してるみたいだね」
「セイヤもみたのか?」
「うん。僕はね。案外、ヨルを目当てに来日したんじゃないかって思っているんだ」
「俺を目当て?ないない?まだまだペーペーのアーティストだぞ。誰が注目するんだよ」
「そうかな?ヨルならありえそうだと思うんだけどな」
セイヤの誇大妄想を聞きながら、今日の一日が始まっていく。
もうすぐ夏が来るので、高校に入学して一年と半分が経つ……
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