第86話 肌

俺の部屋は広い。


机に本棚。


ベッド。


家具はそれだけ。机の上にはパソコンが置かれているけど。


ゴチャゴチャした荷物は何もない。


服などはクローゼットの中なので、昔のオモチャとかも、クローゼットの中だ。



俺はベッドに座って、ユウナが窓際に立っている。



「ヨルの部屋に入るの久しぶりだね」


「中学、高校はユウナも部活とかしてて忙しそうだったからな」


「そうだね。色々と遠回りをしてきた気がするよ」



ユウナは外を見ていた視線を俺に向ける。



「ヨル、本当に最初の相手が私になるかもしれないけどいいの?」


「ああ、ユウナとは色々あったけど。さっき思ったんだ。他の女の子よりもユウナが一番気楽で、ユウナが一番安心かなって」


「そう、私は……ずっとヨルとこういうことがしたかった。だから、我慢はしない。私に任せて」



電気が消されて、月明かりだけが部屋の中を照らす。


タワーマンションの上層であるこの場所では、夜の光すら届かない。


ゆっくりとバスローブを脱いでいくユウナ。



バスローブの下は……



「水着?」



競泳水着を着たユウナ。


青い髪にグレーの水着はよく似合ってはいる。


だけど、何もつけていないか、下着だと思ってた俺は少しだけホッとする。



「他のみんなとは違う私を見てほしい。この姿は私だけ。私を表す姿」



ユウナは水着姿のまま……ゆっくりと俺の前に立つ。



「ねぇ、ヨル。触って」



俺はユウナに促されるままに水着へと手を伸ばす。



お腹の部分に触れて……水着の生地とユウナの引き締まったくびれを感じる。



「ふふ、くすぐったい。触りたいのは……そこだけ?」



ユウナが俺の腕を掴んで、胸へと誘導する。



手に収まる丁度良い胸の大きさ水着の上からでも柔らかくて心地良い。



「柔らかくて暖かい」


「ふふ、触るだけ?」



ユウナは俺の手のひらの上に手を重ねて、ゆっくりと指に力を入れる。


ユウナの柔らかな胸の感触に手が沈んでいく。


俺の指によって歪めていく胸を見つめてしまう。



「ヨル、キスしよ」



ユウナは俺の首に腕を回して顔を近づける。


甘くて花の香りのような良い匂いが近づいてきて、ユウナと唇が重なる。


柔らかな感触の後に暖かい吐息が口内に入り舌が絡み合う。


自然に俺の手はユウナの髪に手が伸びて撫でる。


何度もキスをして、何度も絡み見合うことで気持ちが高まっていく。



「ヨル、私に任せて」



ユウナは俺の膝の上に乗り、小さなお尻からユウナの熱が伝わってくる。


体温が上昇しているのが感じられる。


俺の身体からも汗が流れ落ちる。



二人の体温が上昇してもう服を着ていることも……



ふと、ユウナが離れて水着の肩紐に手をかけた。



「見て」



ゆっくりと水着を脱ぐ姿を見せるユウナ。


画面越しに見ていた。ユウナの肌が目の前で晒されていく。


水着から胸が零れ落ち……お腹……そして、水着が足からストンと落ちていく。



一矢纏わぬ姿になったユウナ。


いつか見たときよりも月明かりに照らされたユウナは妖艶で……その肌は火照って赤みを帯びているように見えた。



「どう?私……綺麗かな?」



「ああ、綺麗だ」



本当に綺麗だった。



細身ではあるが、引き締まった身体。小麦色に焼けた肌。


健康的で魅力的なバランスの取れた身体は、鍛えているとは思えないほど柔らかくて女性らしい丸みがある。



「ありがと。ヨルの好きにしていいんだよ」



両手を広げたユウナに……俺はゆっくりと近づいていく。


来ていたパジャマを脱ぎ捨て、俺も一糸纏わぬ姿になる。


俺が脱いでいる姿をユウナは嬉しそうな顔をして眺めている。



「ヨル……本当にいいのね」


「ああ」



ユウナが俺へと抱きつく。


何の生地も挟まぬさ両者には、ただ熱だけが伝わり合う。


ユウナが俺の首、腕、腹へとキスをする。



くすぐったくて、でも柔らかさに気持ちよさを感じる。



ユウナが顔を上げて、もう一度キスをする。



何度も何度も何度も唇を重ねるうちに、肌と肌が重なり合ううちに、求めるようにベッドへ倒れ込んだ。


ユウナは俺の上に乗り、さらに身体にキスを続ける。



「ハッァ」



漏れる吐息と……溢れる息遣い……



俺は止まらない。



ここまで来たなら後は……野となれ山となれ



高ぶりはただ相手を求めるままに……



「ヨル、いいよね?最後までしても」


「ああ」



断る理由などありはしない……



高ぶる分身は、ユウナを求めている。



「ユウナ……」


「うん」



ゆっくりとユウナの身体沈んでいく。



「ん」



苦悶に歪むユウナの顔。



「大丈夫か?」


「気にしないで。嬉しいだけ」



そう言ってユウナは笑った。




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