第63話 お姉さん
それぞれのお姉さんに連絡を取ることになり、それぞれで伝えてもらうと。
すぐに返事がきた。
文化祭の予定も迫っていることもあり、すぐに会いたいと連絡がきた。
それも三人同時にだ。
「セイヤのお姉さんも来るのか?」
「うん。編集の手伝いをしてくれているからね。姉さんは大学生だけど。
将来は、コピーライターの仕事したいって言ってたから、プロの人たちの話が聞ければ勉強になるんじゃないかな?」
「そうか。まぁいいけど。俺たち四人と女性三人が入れる店なんかあったか?」
「うん。その辺はヨウヘーのお姉さんが用意してくれるみたいだよ」
各ボディーガードさんに声をかけて、お姉さんたちに会いに行くことを伝える。
セイヤのお姉さんと剣さんは面識があるようで、他のボディーガードさんもそれぞれの家族に挨拶をしているので面識があるそうだ。
タエさんもうちの母さんとツキのことを知っているので、まぁ同じだな。
「それじゃいこうか」
男子応援団の四人で帰宅するというか放課後に外を出歩くのは、勧誘のとき以来なのでなんだか楽しい。
高校の外に出て駅前にいくと大勢の人から視線を感じられる。
以前はここまで気にならなかったけど。
意識するようにして、女性たちから、顔や身体に向かられる視線は好気やスケベでイヤらしい視線が混じっていることがわかる。
「ヨル君、こっちへ」
そして、タエさんが視線から守るように壁になってくれている。
「ありがとうございます」
そっと耳元でお礼を言って目的地を目指した。
到着したのは、駅前から少し離れたレストランだった。
街中にあるおしゃれはレストランは貸切なのか、俺たち以外は誰もいなかった。
案内されたテーブルには、三人の女性が座っていた。
三人は俺たちが到着したことに気づいて立ち上がる。
1番奥に座っていた緑の髪をして女性が声を出す。
「今日はお時間をとって頂きありがとうございます」
スーツ姿に大人の女性といった雰囲気を持つショートヘアーの女性が笑顔で手を差し出した。
俺は手を取って握手をする。
「洋平の姉の
「男子応援団の黒瀬夜です」
握手した流れで隣に立つ赤いロングヘヤーに気の強そうな鋭い目つきの女性を紹介される。
「こちらは赤井隼人君のお姉さんで、
「よろしくね」
「よろしくお願いします」
エミさんと握手をして挨拶を終えると最後の一人へ視線を向ける。
「最後に白金聖也君のお姉さんで、
それは……初めて……セイヤと会った時のような衝撃が胸を締め付ける。
白銀の髪にセイヤよりも小柄で、初めて見ると感じるほど美しい人だった。
「ヒカリです。よろしくお願いします」
差し出される手は細くて白くて綺麗だった。
「ヨル?」
後ろからセイヤに声をかけられて、自分が呆然としていたことに気づいて急いで手を取る。
壊れないかと思うほど儚くて、そっと握ってしまう。
「よろしくお願いします」
「自己紹介も終わったことなので、早速本題に入りましょう」
話の内容は、洋平のお姉さんの会社と音楽関係の契約を結んでマネージメントをしてもらうこと。
隼人のお姉さんが監督してpv撮影と編集をすること。
セイヤのお姉さんがそれぞれの仕事の手伝いと、セイヤのサポートとしてマネージャーのようなスケジュール管理をしてくれることが話し合われた。
契約関係は、俺にはあまりわからなかったので、セイヤと相談して決めていくことになる。
また、ヨウヘーが作って応援団が歌った曲は正式にリリースされて発売、アルバムになるそうだ。
作詞は応援団で考えたので、全員著作権の権利があり、作曲はヨウヘー個人で登録される。
著作権問題なども、俺もハヤトもこだわりがなかったので全てヨウヘーに任せた。
今後のスケジュールはセイヤを通して、ヒカリさんが管理してくれて、当面はエミさんの下で撮影の日々が続くそうだ。
撮影機材や人材は全て、エミさんが用意してくれることになった。
「有意義な時間をありがとうございます。
今日はこのレストランで夕食をご用意してますので、みんなで食べましょう」
席替えを行って、夕食を取り始める。
俺とセイヤ挟むようにオトネさんとエミさんが座り、ヒカリさんを挟むようにヨウヘーとハヤトが座る。
レストランの食事は美味しくて、オトネさんが気を使って色々話しかけてくれて食事の間も楽しかった。
やる気のないヨウヘーとは違って、ハキハキと会話を弾ませるオトネさんは頼れる姉御肌と言った感じで面白い人だった。
セイヤの横に座るエミさんは、セイヤと映像について語り合っているようで、編集をセイヤがしていたことに感心しているようだった。
二人とも会話が上手で食事が終わるまで会話が途切れることはなかった。
「今日は楽しい食事会をありがとうございます」
「こちらこそ有意義な時間を過ごせました」
もう一度三人と握手を交わしてそれぞれ帰宅することになった。
最後に、セイヤとヒカリさんに呼び止められる。
「少しいいですか?」
「はい。ヨウヘー君とハヤト君には食事のときに聞いたんだけど。ヨル君もmainを教えてもらえるかしら?」
「はい。大丈夫です」
どうしてもヒカリさんと話すと緊張してしまう。
「うん。ありがとう。それじゃこれからスケジュールに関して連絡すると思います。よろしくお願いしますね」
「はい」
「ヨル。また明日学校で」
「ああ。またな」
二人と分かれた俺はタエさんと家路を帰った。
その間、何度かヒカリさんの顔が浮かんでは消えていった。
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