第20話 部活承認

前書き



この話は短いです。




作者としては、できればスクロールをゆっくりと読んでくださると嬉しいです^ ^






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放課後になり、生徒会室へ部員と顧問を記入した部活申請用紙を提出する。





生徒会室には、最上照美先輩がいた。





他のメンバーは用事があり、今日は来れないそうだ。




「受理されました。


予算などが必要でしたら、後日必要費用を書きだして提出してくださいね」





対応してくれた最上照美先輩は、部活申請処理に判を押してくれる。





確認の書類を返却してもらい、部活動申請は認められた。





「部活申請書類って、職員室に出すんじゃないんですね」

 




カオル先生に書類はどうすればいいのか聞くとわからないと言われた。




職員室のツバキ先生に聞きに戻り、提出書類をもらって、生徒会室へとやってきた。





「青葉高校では、生徒会が部活動関係の予算を取り仕切っていますので。



生徒会顧問に確認は取りますが、採決は委ねられているんですよ。



スポーツ科などは推薦枠を作っているので学校側が管理しています。

 


部活動の枠を出てしまうので。部活動の枠に納まる部は生徒会の役目です」





生徒会業務が思っていたよりもハードそうなので、東堂会長が疲れて見えたのも、間違っていなかったのかもしれないな。





「それにしても、会長から黒瀬君が部活動申請しに来たら受理してあげてほしいと聞いていてよかったです。


そうじゃなかったら男性が部活動申請を持ってくるとは思わないので、驚くところでしたよ」





東堂会長を抱きしめたことを思い出して少し恥ずかしくなる。





「あの……会長からどうやって許可を取ったんですか?実を言うと、男性の部活動はあまり歓迎されていないんです」


  



歓迎されていないことは、ツバキ先生やカオル先生の反応からもわかっていた。




これまでの男子の先輩たちが良くないことをしていたのだろう。





「えっと、会長からは聞いてないんですか?」




ここで抱きしめましたとは言い辛い。




「聞いてはみたんですが、【秘密よ】と言われてしまって」




テルミ先輩が会長のモノマネしながら言うのは可愛い。





「じゃあ、秘密です。


でも、代わりに最上先輩を応援させていただけませんか?」





「私を応援ですか?」





「はい。応援です」





ツインテールの小柄な可愛い系の先輩は、いつも一歩引いた位置で真面目に生徒会メンバーを支えている。




セイヤからは一番真面な先輩として認識されていた。





「ええ。よくわかりませんが、応援団がどのようなことをするのか興味があるのでお願いします」





「それでは応援しますので、目を閉じていただけますか?」





「目を閉じるのですか?う~ん、わかりました」


 



何をするのか見たいようで、名残惜しそうにしていたが、疑うことなくテルミ先輩は目を閉じる。




俺はテルミ先輩の左横まで移動して耳元に立つ。




「……ちゃんと閉じておいてくださいね」





「えっ!」






今から耳元で声を出すことを告げて、驚かせないようにゆっくりと低い声で話しかける。



 






「いきますね。







………








……………






部活の書類、受理してくれてありがとうございます







親切に話してくれてありがとうございます 







丁寧な対応してくれてありがとうございます

   






…………モガミ先輩…………

   









ツインテール可愛いですよ 










仕事してる姿が綺麗です









気配りが出来る人って素敵ですよね








…………テルミ先輩………







いつも頑張ってくれて、ありがとう

  









…………テルミ………







お疲れ様」







そっと距離を取る。




今回は触れることなく、耳元で囁いて応援と日頃の感謝を伝えることにしてみた。




熱が入ってしまって、呼び捨てにしてしまったけど大丈夫かな?




「最上先輩、もう目を開けていただいて大丈夫ですよ」




自分のしてしまったことが恥ずかしくて、ちょっと最上先輩の顔が見れない。




「………」




声をかけても返事なく。

何も言ってもらえなくて、恥ずかしいと思いながら最上先輩を見る。




そこには真っ赤な顔で呆然としている最上先輩がいた。






「先輩。最上先輩……えっと、テルミ先輩?」





「はっ!わっ私は、あっうぅぅぅぅぅっぅうっぅ!!!」



 


意識を取り戻した最上先輩は、先ほどまでのことを思い出して、うなり声を上げて両手で顔を隠した。




しばらく悶えるように頭を振ったりしていたので見つめていた。





「はっ!くっ黒瀬君は?あっ」





やっと俺の存在を思い出してくれたようで視線が合う。




「すっすみません。取り乱してしまいました。あっあの。許可が下りた理由は十分にわかりましたので、今日はお帰り頂いて結構です」





最上先輩に追い出されるように生徒会室を後にした。


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