第11話 生徒会メンバー
さて、まずは生徒会と貞操概念逆転世界のテンプレについて、おさらいしておこう。
貞操概念逆転世界においての生徒会とは?二つのテンプレが用意されている。
・男子の尊厳と権利を守るために男子が生徒会長になり。女生徒達と共に学園生活を満喫する。王道支配者ハーレムルートだ。
今の俺にとっては果てしなく遠いゴールに思える……気を取り直そう。
もう一つは、女子が生徒会長として、男子を高校の広報担当として協力し合いながら、生徒会メンバーと仲良くなっていく。生徒会メンバーハーレムルートだ。
学園の支配者ほど大規模ではないが。
現在の生徒会メンバーは先輩女性であるため、生徒会メンバーハーレムルート一択ではある。
今後生徒会長の座につけば王道支配者ハーレムルートも夢じゃない。
「ヨル、どうしたの頭痛いの?」
生徒会室に向かう途中。
俺は頭に手を置いて妄想を巡らせていた。
セイヤと倉峰が前を歩いて生徒会室までの道のりを案内してくれている。
「頭痛?黒瀬君、大丈夫かい?気分が悪いなら今日はやめておくかい?」
倉峰が気遣ってくれるが、余計な気遣いだと言いたい。
今から美しい生徒会メンバーとの、ドリームマッチに向かうのだから。
正直、倉峰も見た目だけならば生徒会メンバーやランさんに引けを取らない。
しかし、しかしだ。倉峰は残念美人であることがわかっている。
「ああ。大丈夫だ。だから、そのニギニギした手を納めておけ」
心配している素振りを見せながら、スキあらば体に触れようとたくらんでいることが手に現れている。
「はっ!いや、大丈夫ならいいんだ」
物凄く残念そうに手を引っ込めるのはやめておいた方がいいぞ。
となりでセイヤがドン引きした顔をしてるからな。
「えっと、生徒会室ついたよ。ヨルは本当に大丈夫?」
「問題ない」
「そう、なら入るよ」
セイヤが生徒会室をノックする。
扉は向こうから開かれ、二年の最上照美先輩が扉を開けてくれいてた。
「ようこそ、我らが青葉高校生徒会へ」
招かれて中へ入ると、応接間が広がっていた。
応接間の奥に生徒会メンバーが仕事をする木製のデスクが置かれている。
中央の窓際に生徒会長のデスクがあり。その左右に木製のデスクが二つずつ。
その奥に扉があり資料室が設けられているそうだ。
ソファーへ座るように促され、ローテーブルに紅茶とお菓子が用意される。
「まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁ」
「生徒会長。嬉しいのは分かりますが、自重してください」
生徒会長の東堂麗華さんは、俺とセイヤの前に座って顔を何度も見比べていた。
それを紅茶をいれてくれたボブカットの女性が注意する。
「キヨエさんのイジワル」
「イジワルではありません。殿方が困っているではありませんか?自重なさってください」
「む~」
大人が子供をたしなめるようなやりとりを繰り広げる二人を、呆然と眺めていると……
「はいはい。私は二年の会計をしている
ロリ体型の元気っこである南夏帆先輩。
仕事出来る系女子が西松清江先輩。
タイプは違うが、それぞれ可愛いし、美女だ。
「誰が、お母さんですか!かほちゃん。後でお仕置きですよ」
賑やかな生徒会にただただ圧倒されてしまう。
「賑やかですみません。みんな一年生が来てくれて嬉しく思っているんです」
最上先輩が苦笑いを浮かべて、謝罪を口にする。
色々と濃いメンバーの中で苦労しているようだ。
「いえ、少し圧倒されてしまいましたが。楽しそうで」
倉峰が代表して返事をする。
最上先輩はホッとしたように息を吐き。未だにセイヤと俺を見ている生徒会長の脇腹を突いた。
「わひゃ!もう、テルちゃん。何するんですか!?」
「いい加減にしてください。男子を愛でる会ではありません。生徒会への勧誘を開始してください」
「は~い。テルちゃんに怒られました」
ふざけた雰囲気こそ変わらない。
ただ、それまで楽しんでいた顔を引っ込めて、笑顔の質が変わった気がする。
「倉峰飛鳥さん。我が青葉高校の伝統として、一年生のトップ合格を果たした方には生徒会に入ってもらっています。
私の代では私が。そして、二年生では最上照美さんがトップ合格を果たして生徒会メンバーになりました。
もちろん、成績が落ちることがあれば生徒会から退会してもらうこともあります。
ですが、生徒会に務めるメリットはあなたはご存じですよね?」
おっとりとした口調ではあるが、しっかりと発せられる言葉に倉峰が真剣な顔で聞き入る。
俺は生徒会に入るメリットを知らないので、どういうことかわからずにセイヤに視線を向ける。
しかし、生徒会のメリットについてはセイヤも知らないようで首を横に振った。
「はい。今後、私が男性とお付き合いする上で生徒会に入ることは外せません」
「よろしい。一応、生徒会に所属するに辺り、お友達をお一人生徒会に推薦できますが?誰かおられますか?」
「いません。恥ずかしながら、私は友達と呼べる人がいません」
倉峰の発言に空気が重くなる。
えー、一か月経つのに友人いないの?
そう言われて倉峰飛鳥の行動を思い出してみるが、特定のクラスメイトと親しく話している光景が思いつかない。
たまに用事を伝えるためにクラスメイトと話すことはある。
楽しそうに話している相手はセイヤのみ。
……確かに……いないな……他のクラスに出ていく倉峰を見たこともない。
「そっそう。でしたら、今一緒に来られたお二人は生徒会に興味はありませんか?」
固まっていた空気を強引に生徒会長が俺たちに話を振ることで変えてくる。
無茶ぶり過ぎる会長のフリに俺が沈黙していると。
「生徒会は何をするところなんですか?正直よくわかりません」
セイヤが話を逸らしてくれた。
「あら?男子生徒にはその辺の説明は?」
会長の問いかけに西松清江先輩が耳打ちする。
「会長。生徒会に入るメリットを考えれば男子生徒に話すことはないのでは?」
「そうですね~それでは別の女子を探しましょうか?」
「それがよろしいかと」
こちらには聞こえなかった。
なんだかうやむやのまま勧誘は終わりを迎えた。
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