第57話
(腹を、下した!?)
二日目の昼。なんと昼食はうなぎのかば焼きが出た。メイド陣にも好評で、ルミナスに至っては薄っすらと涙を浮かべながら食べた、のだが……。
食事を終えて部屋に戻り、現在。ルミナスは腹の痛みと戦っていた。
(クソッ、普段食べない和食に興奮して食べ過ぎたか!? それとも濃い目の味に驚いて……?)
要因は不明だが確かなのは数週間ぶりの激しい腹痛にルミナスが悩まされているということだけだ。そして今、ティナ以外のメイドたちは旅館を探索しており、ティナが痛み止めをキアラの下に受け取りに行っているためルミナスは部屋に一人だった。
「ふ、ふふっ……少し浮かれすぎたのかしら……温泉で疲れが取れたのは確かなはずなのに、どうして急に……」
敷かれた布団で仰向けになりながら自虐気味に言うルミナスの顔は引きつっていた。
「そういえば、ここに来た目的は視察だったかしら。流石に一週間ずっとこのままということはないでしょうけど体調不良ばかり起こしていては魔王に申し訳ないし、もう少し体調に気を遣って行動しようかしら……」
そんなことをつぶやいていると、部屋の扉が開かれた音が鳴った。そして天井を見上げるルミナスの視線に映ったのは心配そうな顔をするティナだった。
「大丈夫ですか? ルミナス様」
「ええ、一応ね。わざわざありがとう」
「いえ、これが仕事ですのね」
ルミナスの大丈夫という言葉を聞いて、安心したように笑うティナ。ルミナスもつられて小さく笑う。薬を飲んでしばらくすれば、ルミナスの顔色はだいぶ良くなり腹痛も収まった。普段通りに生活できる元通りだ。
「あと五日、無事に過ごせるといいですね」
「まったくその通りよ」
せっかくの休日なのに、とルミナスはティナに聞こえないように小さく呟いた。
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