第12話 日常


 「蓮人遊びに行こうぜ」

授業が終わり、隣の高坂が俺を誘う


「ええー」


「ええー、じゃねえよ、ほら行くぞ」



「あれ、2人ともどこに行くの?」

そんな俺たちを見て、一条が、興味津々といった感じで高坂に聞いていた。



「俺たち?一緒にゲーセンでも行こうかなーって」

高坂は何でもないように答える。


「ふーん、なら私も行くわ」

一条は少し考えた後、そういった


「なんで?」


「いいでしょ、それとも何、私に知られたらまずいようなところへ行くのかしら」


「いや、行かないけど」


「そう?じゃあ私が本当かどうか見定めてあげるわ」


「というのを口実にして、れ…ぐふぉぉ」


 何か言おうとした瞬間にまたしても高坂は腹に重い一撃を食らっていた

 一条から攻撃の早さは俺が本気で見てもぶれるくらいの早さだ。

 痛そう…


「いっててて…すぐに腹殴るのやめてくんない?」


「あなたが変なこと言わなければいいだけでしょう」


「全く、もっと素直になればいいのになぁ」


「うるさいわ、また殴るわよ」


 2人とも仲がいいのか悪いのかわからんな。

 まぁ、喧嘩するほど仲が良いともいうし、多分仲がいいのだろう。

 もしかしたら付き合ってるのかもしれないな。


「蓮人、お前、勘違いしてるぞ」


 ん?何のことだろう?


「俺はこいつとはつきあってねえ!」


「え、どうゆう事?もしかして大鳥君私たちが付き合ってると思っていたの?」


 うぉっ、2人からの圧がすごい


 ん、ていうかなんで心で思っていたことがばれてるんだ?

 もしかして口に出てたか?


「いや、蓮人、俺の能力忘れたのか?」


「なるほど『心眼』で俺の心を読んだのか。って勝手に人の心読むなよ!」


「仕方ないじゃねぇか。このスキルほぼ常時発動してるんだもん」


「そうなのか?」


「ああ、おかげで頭が滅茶苦茶痛くなったこともある」

 そういった時、高坂の顔に影が差した。


 たぶん、能力のせいで嫌な思いをしたことがあるのだろう。

 能力は使い勝手の良いものだと、代償が必要になることがあるからな。

 …俺のように。



ー-------------------------------------



「それじゃ行きますか」

と高坂が言うと


「「おおー--」」


と2人が言った


え?一条ともう一人はだれかって?


如月さんです

あのあと、なんやかんやあって如月さんも誘ってゲーセンに行くことになったからだ。


「見てみてー、このクレーンゲームのぬいぐるみ可愛くない?」


「何言ってるんですか、茜ちゃん、こっちの方がかわいいですよ」


「おーい、蓮人ーリズムの達人一緒にやろ―ぜー」


「おっけー、いまいく」



などと言って、4人でとても楽しんだ後、家へ帰った。



ガチャ


バタバタバタバタ


「あ、連くーん今日は帰ってくるの遅かったね。どうしたの?何かトラブルに巻き込まれたの?大けが負ったばかりなんだから安静にしてね、あと…」


「わかった、わかってるよ、母さん」


「そう?ならいいけど。でも何かあったらすぐにお母さんとお父さんにいうのよ」


俺が家には言った途端に俺のもとへすっとんで来たのは、大鳥咲奈おおとりさな

そう、俺の母親だ。

お察しの通り超過保護な母親である。


「ん、蓮人かえって来たのか。けがは大丈夫か?」


「ああ、大丈夫」


部屋の奥から出てきた大柄で、あちこちに傷がある厳つい男は、俺の父さん、

大鳥陸翔おおとりりくとである。


「じゃあ、ご飯でも食べましょう。私、一週間も連くんと、ご飯食べれなくて寂しかったんだよ、ささ、早く早く」


「ちょっと待って、母さん、荷物だけ部屋に置かしてくれ」


「りょーかいっ、じゃあ待ってるから早く来てねー」


「はいはい」



「蓮人、村正を解放しただろ」

父さんは、俺が食卓に着いた途端そういった


多分、村正を解放したことを、感情の機微で判断したのだろう。


「え、ああ」



「代償があると知っていたのにもかかわらず使ったという事は、

何かお前が自分ためになると判断したのか?」


「いや別に、なんか、ほかのやつが戦ってるのを見てほっとけなかったというか…」

と言った


この言葉を発した時、俺は、少し心が痛かった。だって...嘘をついていたから。

実際ほっとけなかったというのも少しだけあるので完全な嘘ではないが。


しかし、それよりも何よりも廣告が天使に憑依される前に感じた力の波動、あれは、父さんや、母さんが襲われたときに感じた力と酷似していた。

だから、少し隠れて証拠などがないか調べようと思ったのだ。

まぁ、結果として失敗したわけではあるが…


最終的に分かったことは、俺の目の前だけに現れたという、人型機獣が、人間が使う剣術を使ったという事と、神器を持つという事から、

恐らく元は人間だったのだろうという事くらいだが、証拠が何にもなかった

前よりは、奴らに近づけたと思う。



その時俺は、はっ、とした


なぜなら、父さんの頬を涙がつたっているのに気付いたからだ。


「蓮人、お前が自分から行動するようになるとは思わなかったぞ」

父さんはそのまま俺に言った。


「へ、へぇ。そ、そうなのか?」


「ああ、ずっとこのまま不愛想なまま生きていくと思うと、ほんとにもう...

 うちの息子、人生終了したわって思っていた」


「いや、言い過ぎでしょ!」


「そうか、でもまぁ、回復してよかったよ。ただ一つ言いたいことがあるとするなら、蓮人、あまり力を使いすぎるなよ。


「わかってるよ、強い能力程、代償が多い、だろ?」


「ああ、わかっているならいい」


うーん、すごく胸が痛い。

でも、両親を心配させないためにもこのことは秘密にしておこう。





俺が、今なお神魔教団を追っているということは...







***


ここまで読んでくださりありがとうございます!

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