第13話  想定外 他者視点

〈立花京香 視点〉

 最初彼を見たときは、弱いと思った。Aクラスの生徒に喧嘩を売ったと聞き、負け犬の遠吠えだとも思った。



 Eクラスの生徒がAクラス最上位の実力を持つ生徒に勝てるわけがないからだ。



 だから私は決闘をする前に廣告にやりすぎるなと伝えた。



 しかし、いざ決闘を始めるとあの廣告がまるで子供のようにあしらわれていた。



 私は訳が分からなかった。



 なぜあれほど強いものがEクラスにいるのだろうか、



 彼は、どれだけ廣告と相性がよくとも、Aクラス下位くらいの実力は備えているように見える。



 私はとても不思議だった。



 やることがなく殺風景な病室で私は、彼はいったい何者なのだろうかと、考え続けている。



 はぁ、早く退院して、彼に話を聞きたいよ。




〈高坂当夜 視点〉

「という事で、俺とあいつの決闘で片をつけることになった」


 そう彼から聞いたとき、俺は蓮人が勝つと確信した。



 俺は能力の関係上、人の心の状態を把握することができる。



 その時の蓮人の心の中は、まるで風がやんで波がなくなり、静まった海面のようだった。



 そして、対する廣告の心の中は海に浮かんだ海藻のように波打っており、決して穏やかな海面のようではなかった。



 俺は、戦いにおいて最も重要なことは、戦闘の最中さなかにあっても、

 自分を客観的にみる、つまり自分を分析することができるか、という事だと思っている。



 別に、感情的になるのが悪い、と言っているわけではない。


 しかし、客観的にみることのできるやつは、戦っている最中さいちゅう

 あっても研鑽を続け、


 成長する。


 しかしそんなこと普通はできない、だから逆に言えば、

 出来るやつは強くそして、聡い。



 、俺の信じた蓮人だな。



〈一条茜 視点〉


 廣告あいつに腕を捕まえられて時、抵抗しても無駄だという事を知った。


 圧倒的強者の纏うオーラを前にこだわりや抵抗が霧のように薄れていった。



 私が絶望した時、彼は来てくれた



 彼の顔は、憎しみに染まっていた。



 私は不思議だった。なぜ彼は怒っているのだろうかと


 そのあとすぐに立花先生がやってきて廣告と蓮人君の決闘が行われることになった


 私はとても心配だった。


 蓮人君が廣告に負けるくらいなら、私が犠牲になってもよかった。





 私のせいで誰かが傷つくなら、犠牲になってもいいと思った…………。



 しかし、結果は私の考えをいい意味で裏切ってくれた。


 私の目の前には、信じられない光景がひろがっていた。



 Eクラスの生徒が、Aクラスの生徒と互角、いや子供と大人が戦っているかのようなじょうたいだった。



 その時私は、彼なら私をこの深い深い暗闇の中から助け出してくれるのかもしれないと思えた。











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