第7話 戦闘

 

 「ビビらずに来たようだな」


次の日闘技場に行くと廣告がすでに待っていた。


「まぁね」

俺は彼の言葉を適当に受け流す。

少しイラついているようだが、決闘に向けて冷静になるようにしているのだろう。 冷静さを欠くと格下にも負ける事はわかっているようだ。


「ふん、俺は絶対にお前なんかに負けない、いや負けられない。なんたって俺はAクラスだからな」


彼はAクラスというだけでなく大企業の御曹司だからなぁ。いろんなもんせおってんだろうなぁ、と思いながらも、いつでも戦う事が出来るように準備していると、

立花先生が俺たちのいる競技場へ入ってきた。


「2人共いるな、よしそろそろはじめるぞ。準備はいいか?」


「大丈夫です」

「早くしたくてたまんなかったぜ」


「では、決闘開始!」


「来い『村正』」

「いでよ!『ミョルニル』」


彼はやはり雷系統の使い手らしい


一陣の風が場に吹く、それを皮切りに俺と彼は地面を蹴り、相手に攻撃を繰り出した


彼は大槌を持っているとは思えないほどのスピードで移動し、

まだ槌の射程がこちらに届いてないにもかかわらず

槌を振り下ろした。


その瞬間、俺の背中に悪寒がはしり、

ほぼ無意識にバックステップで後ろに下がった。


すると、さっきまで俺がいたところに紫の雷が落ちた。

さすがは神話で雷神トールの使っている武器の名を冠するだけある。

威力がけた違いに大きく、鋭い。


「ちっ、避けやがったか」

と言い彼は何度も槌を地面にたたきつける。

そのたびに、彼の周りには砂塵が舞い、雷が落ちた。

彼が連続での攻撃を終えた後、あまりの攻撃の激しさに、

フィールドの視界は著しく悪くなっていた。


「ふん、全部避けやがったか、逃げる才能は、少しあるようだが全く攻撃ができねぇみたいだな」


「そんなわけないだろ。攻撃するのがめんどくさいだけだ」


「負け惜しみか?なら、さっさと決着をつけてやる」


「はぁ、余裕そうだな。」


「当たり前だろ、攻撃してこない奴に負けるわけがないのだから」


「これでもそれが言えるかねぇ呪え、『甲子きのえね』」


俺がそう言った途端、フィールドに現れた印が黒い光を発した。


「なんだ、この印は、こんなもん破壊してやる!」

と言って廣告はミョルニルをたたきつけるが現れたのは、小さな雷だった。


「なにてめぇ何かしやがったな」


「俺は楽に勝つ方法を試してみただけだが?」


甲子の効果は、相手の能力の一つをランダムで弱体化する能力だ。

今回は相手の神器の中でも強めの力を弱体化できたので良かったが、しょぼい能力

を弱体化させることもある、かけ要素の強い技だ。


「だが........こんなことで負けるわけねえだろうがあぁぁ」

と彼が言うと、彼の体の中に内包する神力が爆発的に上がった。


「行くぜ、纏雷てんらい


彼は自分に雷をまとわせ、俺に突っ込んできた。

しかし、その速さは、これまでの比ではなく、避けることができないほどに上昇している。


「おらおらおらぁ!ちっ、これでもまだ避けるか。なら、転雷てんらい!」


さらに彼のスピードが速くなる、ここまで来たらもはや普通の人には見ることができないだろう。強さだけで言えば、一時的にSSクラスにも匹敵しているかもしれない。まぁ、性格面で、落ちるだろうが。


俺もさすがに避けるのが厳しくなってきたので、能力を発動する。


「呪え、『乙丑きのとのうし』」


乙丑は自分を呪う能力だ

つまり、自分を呪うことで呪いで自分を強化するということだ。

これは弱点がそこまでないため、使い勝手の良い呪術だが、重ね掛けをしすぎると、

自分が呪いになってしまうので注意が必要だ。


「さらに、呪え『丙寅ひのえとら』」


すると、廣告の四肢に、呪いの塊が絡みつき拘束した。


「こんなもので俺が止まるわけねぇだろうがぁぁぁぁ!」

と言い抜け出そうとするが、この拘束は、柔らかいため、ちからでは、振りほどく

事ができない。柔能く剛を制すとは、まさにこのことだなと思いながら


「お前の負けだ、廣告」

といった。


「嫌、まだ負けていない。俺は負けなんか認めない!」

と言い出したので、

立花先生に


「俺の勝ちでいいすか?」

と聞くと、


「ああ、今回は大鳥のか…」

と先生が言った瞬間、


「お前にだけは! 負けるものかぁぁぁぁぁっ!」

という叫び声が聞こえ、見ると廣告が根元から呪いをぶっちぎっていた。


「いくぜ、『天来』」


「廣告!やめろ」

立花先生が叫ぶがもう遅い、


廣告は、変わり果てた姿でそこにたたずんでいた。




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