第5話 過去 (大鳥蓮人)

  


  俺はもう、人に期待されるのはごめんだ。


 あれは、俺が小学生のころだった。

 俺は、昔からすべてが平均以上にできた。


 神器所有者で、階級が火位の上位にいた父から習った戦闘術も、

 母から習った様々なサポート術もすべてが完璧にできた。


 両親に褒めれることがうれしくてたくさんの技能を磨いた。だけど俺は何も考えていなかった................


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 あれはちょうど中学1年のころだった。

 その日はなぜか嫌な予感がして学校の授業が終わってすぐ家に帰った。

 でも、もう遅かった。父は瀕死で母は気絶していた。


 そして、父と向かい合うように黒ずくめの男たちが立っていた。

 父の血が付いた短剣を持って................


 その黒ずくめの男たちは俺に向かってこう言った。


「俺たちのもとへ来るのなら、お前の父と母は見逃してやろう」と、


 もちろん両親が死なずに済むのならと思いうなずいた。


 だけどやっぱり子供だからか、俺は甘かった。

 うなずいた瞬間男の仲間が父に剣を振りかざしているのが見えた。


 その時からだ、悪を見ると俺の視界が赤く染まるようになったのは。


 視界が赤くなるとすべての物事がスローモーションに見える。

 俺は、剣を振り上げていた男に体当たりをしてそのまま男の持っていた剣で男の心臓を突き刺した。


 その結果、あの黒い集団はどこかへ消えていった。

 最終的に、父も母も一命をとりとめたが、けがの後遺症で戦うことができなくなってしまった。奴らは将来有望だった両親の未来をも消し去った。


 後で父から聞いて分かったことだが、あの集団は見込みのある子どもをさらって洗脳し、自分たちの子飼いの戦士を育てている違法集団らしい。あの時彼らが俺の家族を襲ったのは、俺が天才だと有名だったからだ。

彼らがどこにいるのか、目的は何なのかいまだに何もわからない。

しかし、俺はあいつらを永遠に許しはしない。


 

 その時以来俺は、目立たないようにするため自分の力を隠し、すべてにおいて最下位に近い成績をとるように心掛けた。そのほかにもいつも死んだ目をするようにし、

必要最低限のこと以外はやらないようにした。


周りには変な目で見られたし、馬鹿にされることもあった、昔はあんなに優秀だったのにと言われたこともあったついたあだ名は、【堕ちた天才】だった。



どれだけいわれようと、どれだけ馬鹿にされようと

 


俺はこの道化をやめなかった。


あえてその道を突き進んだ。

















 全てはあの黒の集団<神魔教団>を壊滅させるために................
















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