第3話 底辺

 

「よぉ、れ…んんっ。お前Eクラスの生徒か?」

 彼は笑顔で俺にそう尋ねた。




「あぁそうだ。」

 と、俺は言った。



「あっ俺の名前知らないか、俺は高坂当夜、神器はラーグルフ、固有能力は『心眼』だ」


「そうか、じゃ」

 と言って立ち去ろうとすると、


「えっ、おいおい人に名乗らせて、自分名乗ねぇのかよ。」


「お前が勝手に名乗ったんだろ」


「いやそれでも相手が名乗ったんなら名乗れよ」


「はぁ、めんど....俺は大鳥蓮人神器は村正、固有能力は『呪術』」


「うわ、怖い能力だな。で、その死んだ目、Eクラスだと思ったんだ、俺もEクラスなんだ、一緒に行こうぜ」

 と彼は言って笑った。


 人の顔を見てクラスを判別するなんてなんて失礼な奴だが、彼の表情からはマイナスの感情が読み取れない、多分裏表のない奴なのだろう。こいつはだ。俺は、人を見る目は結構あるはずだ。


 そう思いながら俺は、どんどんEクラスの教室へ向かっていった。

 彼も苦笑しながらも後ろからついてくる。


 クラスで自分の席を見つけると廊下側だが1番後ろだった、何の因果か高坂は俺の隣の席だった。


「お、知ってる人が隣にいてよっかたぜ。これからよろしくな蓮人」


「ああ」

 

 すると、俺の前にいた女子が俺たちのほうを向き、


「ねぇ、君たち知り合いなの?知り合いで同じクラスなんてよかったねと言ったらいいのか、2人ともEクラスなのを嘆いたらいいのかわからないね」と失礼なことをいった。


「ん、俺たちはついさっきそこで知り合ったばかりだぞ。君の名前は?俺は高坂当夜っていうんだ…」


 などと高坂と女子、(一条茜というらしい)が自己紹介をしていると、前の扉が開いて1人のおじいさんが入ってきた。


 と、思った瞬間おじいさんがこけた。


 ................はぁ?

 うん、この人たぶんこのクラスの担任だよね、さすがにこれは大丈夫なの?


 周りを見ると皆同じような顔をしていた。


「ええっと、とりあえず初めまして。わしの名前は楠木東泉くすのきとうせんという。これから1年間よろしく頼むのぅ」と言って笑った。


「ん?なんじゃ不安そうな顔をしておるのう。この学校で最底辺のクラスになってしまったからか?それとも.......

担任の先生がわしのような年寄りだからかな?」

と笑いながら聞いた。

 

その瞬間、Eクラス全体に普通の人なら一生感じることのないような殺気が走った。


「安心せい。わしはこれでもこの学園で両手の指で数えられるくらい強い。

おぬしらは別に見捨てられたわけではない。今、世界は所有者不足だからのう」

と、先生が言った時にはすでに好好爺になっており、さすがは神超学園の先生だと言わざるを得ない濃密な殺気であり、切り替えの早さであった。

 


「ふむ、今年のEクラスはなかなかよい素質のあるものがそろっているではないか」

と、俺のほうを見てまた笑った。


「では、気を取り直してクラスの係決めをするかのぅ」

と言って、Eクラスは係決めへと話題を変えていった。






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