カルセインの日記(5歳)
▼月14日
今日もおねえさまにべんきょうをおしえてもらった。あんなにむずかしいこともわかるおねえさまはすごい!じまんのおねえさまだ。べんきょうはむずかしくてきらいだけど、おねえさまみたいになりたいからがんばるぞ!
▼月30日
今日は文字のおべんきょうをした。少しずつ書けるようになってきて、おねえさまにもほめられた。うれしかった。おねえさまにがんばるってやくそくをした。おねえさまはぼくに「りっぱなとうしゅ」になってほしいみたい。とうしゅって何だろう。ちゃんと調べておこう。
◯月5日
今日はいもうとに会えた。なまえはリリアンヌ。すっごくかわいかった。「ちいさいね」っておねえさまにいったら「あなたと一つしかかわらないのよ」っておしえてくれた。ふしぎ。それなのにぼくよりかなりちいさかった。でもかわいかった。
◯月10日
さい近、おねえさまの元気がない。周りの人にきいてもなにもおしえてくれない。しんぱいだな。じじょにきいても何もおしえてくれなかった。なんでだろう。
◯月22日
今日はひさしぶりにお姉さまにべんきょうをおしえてもらった。元気そうにしてた。よかった大丈夫みたい。
■月23日
今日はお姉さまに「何かされてない」ってきかれた。何のことかわからなかったけど、さい近べんきょうをがんばっていることを話した。そしたら安心してた。お姉さまはぼくがべんきょうをするとうれしいみたい。がんばるぞ。
■月29日
昨日は怖いゆめを見た。怖くてねむれなくなったから、お姉さまのへやにいった。お姉さまといっしょだから安心してねれた。お姉さまのとなりはあたたかかった。起きたら手のこうがぬれてた。汗でもかいたかな。
■月30日
お姉さまが泣いてた。ほんの少しだけど、ぼくは見のがさなかった。ぼくにできることがないか一生けんめいがんばって考えた。だから約束した。「かならず立派なとうしゅになる」って。そしたらお姉さまは笑ってくれた。だからがんばるぞ。
△月16日
さい近はお母さまがずっとお家にいる。お母さまは怖いから好きじゃない。たぶん、お母さまもぼくのことが好きじゃないと思う。
◆月23日
お姉さまに会いにいったら、おへやにいなかった。さい近、お姉さまはぼくじゃなくてお母さまと出かけてばかりいる。お母さま、ずるい。
▽月18日
今日、お母さまのおへやの前をとおったらお母さまが声をあらげてた。いやな声。何言ってるかわからなかったけど、じじょさんの顔からしてきっとおうぼうなことだと思う。お母さまはいつもそうだ。人に当たってばっかり。あんな大人にはならないぞ。
▽月31日
さい近、お姉さまがつかれてるみたい。お母さまと毎日のように出かけてる。大丈夫かな。
▲月9日
お姉さまとけんかした。ぼくもお姉さまと遊びたかっただけなのに、お茶会には来ちゃだめだって。こういうのはしょうたいじょうが必要だから、ぼくも欲しかった。お姉さまのけち。
▲月20日
お姉さまのしゅさいのお茶会にこっそり行くことにした。しょうたいじょうはないけど、うちでやるみたいだから良かった。行くことはお姉にもないしょ。びっくりさせるんだ!
▲月21日
あんなのお姉さまじゃない。うそだ。きっとお母さまに何か言われたんだ。あんなのお姉さまじゃない。いつものお母さまみたいなこと言ってた。けどきっと、あれも言わされてるんだ。お母さまなんて大っきらいだ。
ぼくの大好きなお姉さまはあんなこと絶対言わない!ぼくのお姉さまを返して。
▲月22日
お姉さまのようすが心ぱいで見に行った。でも、同じだった。じじょにどなってた。まるでお母さまみたいに。怖くてすぐへやに戻った。何でかわからないけど、体がふるえてた。
××月10日
お姉さまがおかしくなっちゃった。ぼくのことを無視するようになった。お母さまのせいだ。お母さまが何かしたんだ。
××月12日
お姉さまにどなられた。びっくりした。ぼくが悪かったのかな。ごめんなさい。でもいつものお姉さまならどならない。ぜったい。
××月15日
お姉さまがお姉さまじゃないみたい。はでなドレスばっかり着て、ぜんぜん似合ってない。
××月26日
お姉さまとお母さまの話をかってに聞いちゃった。聞くんじゃなかった。「カルセインは無能ですから」って聞こえたから。大好きなお姉さまの声で。
勉強、がんばってたのに。もうどうでも良くなってきた。
×○月29日
ようやくわかった。
笑いかけてくれるお姉さまは、やさしく勉強を教えてくれるお姉さまは、いっしょにねてくれるお姉さまは、ぼくの話を聞いてくれるお姉さまは。
もうどこにもいないんだ。
×○月30日
お姉さまなんて大嫌いだ。
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