機神、惑星ヘブンに立つ 17
かえりみち 1
トッパが戻ってきた。いつの間にか元の姿へと戻っていたようだ。見た感じでは疲れているようだった。
「ハァ、ハァ、....えーっと。終わった感じだろうか?」
「ああ終わったよ。俺たちの勝ちだ」
「そうか、ヒィ、ならよかった」
「トッパ、無理するな。初めての闘体形成だったのだ。疲れて当然だ。それにここからは一久とワタシの出番だ。君は休むといい」
「そうさせてもらうよ」
「じゃあ始めるか。トッパ、少し離れていてくれ」
それを聞くなり離れた木陰にトッパは座り込んでいた。
***********
準備に入る。一久がバリゴルンの胸に触れる。だが以前とは違う。まるで水中に潜るかのように、彼の体はバリゴルンの中へと入っていった。
するとバリゴルンは輝きを放ち巨大化。どうやら機神の戦闘モードらしい。
人と同程度、もしくは少し大きめだったサイズが、今はしっかりと確かな存在感を出していた。
一方、中に入った一久は不思議な感覚に包まれていた。
淡い緑色のような空間に浮いている。自分の体の感覚にプラスして、まるで鎧か何かを着ているようだ。自分の腕を動かせば、まるで繋がっているかのようにバリゴルンの腕が動く。
視界というよりも脳に直接外の映像が流れ込んでくるようだった。
「すげえ。これが機神か」
“気分の方はどうだ?一久”
声は内側から響く。やはり不思議だ。
「今のところは。だから早めにだな」
そして始まる。機神の力が今解放される!
「“
それは機神がその超常の力を振るうために必要なもの。
世界を一時的に塗り替え、彼らのためだけのものにするもの。
その中ならばどんな無茶でも実現することができる。
機神という名は伊達ではない。
二人は今、穴を開けようとしていた。島一つすっぽりと覆ってしまうほどの穴を。
天に向かい、その巨大な腕を構えるっ!両腕の間にはエネルギーの塊のようなものが作り出され、次第にそれは巨大な矢の形へ姿を変えていく!
見よ!これが機神バリゴルンの大いなる一撃!その名も!
「“超・弩弓!バリボウガンッ!!!!!”」
離れた矢はまっすぐと飛ぶ!
「行けえええええええええ!ぶっ壊せええええええ!」
そして何もないはずの空に確かに刺さった!だがそれは凄まじい威力だったにもかかわらずひびが入っただけだった。
確かに空が割れるようなことは現実的には不可能。この状況だけでもかなりすごいことなのだが、目標には達しなかった。
“ダメだ。パワーが足りない”
「嘘だろ、全力出したぞ...」
それだけではなかった。
「あー、まずい...。すまない。ダメかもしれない。俺の中のコアがお前に同調し始めたみたいだ。体が言うこと聞かなくなってきた」
“となると、あと一回が限界か。思ってたよりも早いな”
「ほんと何が大丈夫なんだよじいさん...」
“おそらく一気に精製を完了させたからだろう。本来ワタシに乗るにはもっと手間と手順がかかるのだからな。コアを働かせすぎたのだ。しかしどうしたものか...”
チャンスは掴んだ。でも一歩足りない。実際には一歩どころじゃないかもしれない。そんな逆境に光が差し込む!
そう、彼の左腕のビルダローアがまるで使えと言うように輝き出した!
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