機神、惑星ヘブンに立つ 15
15.火力はものを言う
「で、この姿、なったはいいのだが…、どうするんだ?」
「さっき言っただろ。お前があのクモと戦うんだよ」
だが進化したとはいえ、その体格差は埋まっていない。どうしろというのだ。
「トッパ、お前はもうちょい自分を信じた方がいいぞ。それが自信ってもんだろ?」
「一久、君がそれを言うのかい?えらく大きくなったもんだな」
「二人で会話しているところ悪いが、今は戦いの場。そんな気の抜けた状態でいいのかね?」
オーゼが攻撃をしかけてくる。だが相変わらず、無人機を寄越すだけだ。
今のあいつの相手は一久。ならばトッパはあのバカでかいクモに集中するのみ。
「それじゃ、任せるぞ」
彼らは動いた。そのタイミングは同時。トッパはクモをひきつける。一久はただ眼前の敵に向きあう。それだけであった。
*********
一方そのころ、ようやく研究員たちを安全なところまで避難させ終えたバリゴルン。
「いくら機神でも人これだけの人数を一度に運ぶのはきついものだな。二人のことも心配だ。特にトッパは戦闘に慣れていないからな。それに極盛逢世、まだなにか隠してるはずだ。うまく聞き出せるといいが…」
とは言いつつも、彼だってすべてを話したわけではない。交渉は対等な立場で行われるものだ。つまりお互い様である。
そんな独り言とは無関係に、島の中央からは戦いの音が鳴り始めた。
*********
ここまでくれば大丈夫だろうか。後ろを見るトッパ。だが、そこにやつの姿はなかった。いや、それどころではない。あたり一面がクモの巣でおおわれている。
(なぜだ!いつの間に!)
彼はそう思ったに違いない。先ほどまで後ろにいたのは確かだ。
「なるほど私の方が追い込まれていたということか」
だが、冷静だった。それも驚くほどに。見ているこちらが冷めるほどに。
「たとえ隠れたとしても無駄だぞ!何故なら!」
何故なら?なんだと言うのだろうか。
「全部燃やすからな!」
それはとてつもなく単純な答え。そうだ邪魔なものは燃やしてしまえばいいのだ。
全身の武器を惜しみなく使い、トッパは巣を焼き払う。
「どこだ!どこにいる!さっさとその姿をさらしやがれこの害虫があ!」
乱射の甲斐もあってか、思ったよりもはやくその姿を現したバケモノグモ、名はスパパイドン。オーゼによって作られし超生物。だがそんなこと彼にはどうでよかった。
とにかく銃を撃ちまくる。その弾丸たち確実にクモを蝕んでいった。
彼の心はただ一つ。試したいということのみ。今まで使うことが叶わず、なんなら一生使うこともないと覚悟までしていた力を揮うことが出来る。なんと素晴らしいことなのだろうか。
「さてともう逃げられないだろう。それじゃあ試してみるか」
見るからに巨大な胸の砲。それは飾りなどではない。初めてこの姿になったとはいえ、それがどんなに強力なものなのかはなんとなく感じていた。
おそらく一発限り。すべてのエネルギーを込めて打つことが出来るはずだ。
だから叫ぶ。一撃必殺のその名を!
「ブラスト・ラストォォォォォォォォォ!」
あたりに響くクモの断末魔!その背には燃え盛る炎!
彼の初戦は勝利に終わったのだった。
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