機神、惑星ヘブンに立つ 12
12.決戦前夜
あれからいろいろ話合った。エヴォリスのことや機神のこと、一久のことそしてオーゼのこと。いろいろありすぎてどれから処理すればいいか正直わかんないし、まだ戸惑ってる。でも…。
「心に鍵をかける方法は今教えた通りだ。そして明日はよろしく頼むよ」
「ありがとう。わかっているよ。オーゼとやらは私がどうにかして話をしてみる」
段取りは出来た。あとは準備をするだけだ。きっと明日は忙しくなるだろう。さっさと船に戻るとしよう。
洞穴の外に出ると、空がすっかり赤くなっていた。
その道中、私はやつとの会話を試みることにした。
「オーゼ、私の声が聞こえるだろうか?」
「ほう、お前から話かけることが出来るようになったのか。あの機神に妨害されたせいでなにが起こっていたのかわからないが、どうやら小賢しい技術を身につけたようだな貴様」
やつの、オーゼとやらの声は思っていた以上にあっさりとしていて、無機質な感じをおぼえさせた。
だが、上からな話し方がどうにも気に食わない。
「身体を貸してやっているのはこちら側だぞ!貴様と言われる筋合いなどない!名前まで勝手にパクったくせに」
「ふん、そんなことよりも話すことがあるのではないか?言っておくが今のお前を所員が見れば不思議がるぞ?何せ側から見れば貴様は一人で会話してるのだからな」
「誰のせいだ!とにかく明日この島に総攻撃をすることにした!お前が指揮してくれてもいい、だがその場合、全て私に見せろ」
「そんなことか。いいだろう。だが貴様の作ったアームヘッドだけでは戦力的には不十分なのではないか?何か足してやろうか?」
「勝手にしろ。出せるものがあるならな」
「ではそうさせてもらう。君は覚悟が決まったようだな。喜ばしいことだ」
それからオーゼの声は聞こえなくなった。どうやら潜ったらしい。
船に着く前に決着したのはありがたかいことだった。
「おかえりなさい所長。随分と遅かったですね。やはり何かあったのですか?」
乗った途端に話しかけられた。またこいつか。今日一日、うざいやつだと思ったが邪険にするのも良くない。それになんだか人と話すのが随分と久しぶりなようにも感じられた。
「ああ、どうもこの島はここにあっちゃいけないみたいだね。だから研究所の総力をもって破壊するってことにしたよ」
「そうなんですか。見た感じ普通っぽいんですけどねえ。ってことは明日も仕事という感じですかね。自分、頑張りますよ」
意外と良いやつなのかもしれないな。確か最近入ったばかりの所員だったか。名前、覚えておいてあげるか。
「そういうわけだ、明日も頑張ってもらうよ」
そうして私は未明島を後にした。すべては明日だ。
**********
なかなか眠れなかった。もう一度未明島へと向かうと決めた。でもそのために俺はこいつを、デサラを使わなければならない。それも戦うのだ。ただ中を見るのとまったく違う。やはり俺はあいつに思うところがあるみたいだ。
「ほんと勝手だけどよ。デサラ、俺はお前が嫌いだ。でもよ、今はお前しか使えないんだ。お前しかいないんだよ。だから、力、貸してくれ」
機械に向かって話しかけるなんて我ながら馬鹿馬鹿しい。でも少し気が済んだ。だからまた目を瞑ることにした。
どうせ全ては明日だ。なら明日考えればいい。
そうして眠りに落ちていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます