機神、惑星ヘブンに立つ 10
10.秘密は誰でも 2
俺は今、懐かしい気持ちとここに来てはいけないという危機感を抱いていた。旧石田研究所。俺が住んでた家だ。
その記憶は俺にはない。かなり小さいころの話だったから仕方のないことなのかもしれない。
でもここにポッドが落ちたってことは何か意味があるんだろう。
ほぼ個人でやってるもんだったから実験施設は地下にあったらしい。その地下施設への入り口だけが綺麗に残っていた。
そもそもこの研究所は事故で閉鎖になったんだ。「入るな」というテープが張られていたが関係ない。確かめてこいと言われたのだ。仕方ないだろう。
とりあえず中にはいる。居住スペースの方はぐちゃぐちゃのままで放置されていた。
でもなんだか懐かしい感じがする。ここで父さんと母さんも一緒に暮らしてたんだよなあ。
「あれ、そういえば俺、いつからじいさんと二人だったんだっけ?」
不思議なことに今までずっと気にしてこなかったことが頭の中に浮いてくる。
だがとりあえず地下へと降りる。残っているのはそこだけなのだ。
「でも、どうしてだったかな」
「思い出すな」
誰もいないのに声が走る。
「えっと、確かあの事故って」
やめろ。
声が大きく、そしてひどくなる
やめろやめろやめろやめろやめろやめろ。
「うるさい!」
階段を下りきる。そこは開けたスペースだった。
駄目だ。見てはいけない!
そう言っていた気がした。だが遅かった。
俺は見てしまった。それは完成したアームヘッドだった。そして次の瞬間!
「うぐぁ!」
頭痛が走る!痛い!そして悲しい!そう思った。俺の中にあったあの日が、何かが目を覚ました。
**********
「内容次第ではどうするかわからんぞバリゴルン?」
彼は怒っていた。それもそのはず。彼にしてみれば唯一の仲間に裏切られたようなもの。
だが私もその秘密とやらには興味があった。そういう状況でもないのは事実だが、やはり秘密というものはどこかおいしそうなものなのだ。
「私も知りたい。話してくれないか?」
だから首を突っ込んでしまった。
「お前、敵だろ!そんなやつに聞かせるものか!いくら操られているといったからって信用できるものか!」
「落ち着けトッパ。これは彼女も聞く必要があることだ。大丈夫、やつには眠ってもらっている。それにいずれちゃんと説明しようと思っていたのだが、今が良いタイミングかもしれない。言わなかったにもわけがあるのだからね」
予想外の返事に驚いてしまった。私も聞かなくてはならないということはどういうことなのだろうか。
どうやらトッパ?とやらも納得して聞く姿勢に入ったようだ。私も心して聞かねばならない。
「実はな、この世界にワタシが落ちてきた時、コアは二つあったんだよ」
「はああああああああああああああああああ!?」
声がでかい。洞穴だからか反響して余計うるさい。そんなに驚くことなのか?
「あとな、そのもう一つのコアなんだが…、百丸に渡したのだが、彼はどこに隠したのかわからないんだよ」
「はあああああああああああああああああ!?」
へえ、先生が一個貰ったのか。ていうか先生、なくしたんじゃないだろうか。いや、さすがにそれはないか。
「それでだな。これは今さっき分かったことなんだが、そのコアはおそらく一久の中にある」
「「はああああああああああああああああ!?」」
衝撃的な暴露に私まで一緒になって叫んでしまった。え、てことは何、一久のやつ、このトッパみたいな緑色のでかい石を持っているっていうことなの?
…でも、どこに?ていうかさ、そもそもコアって何?
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