機神、惑星ヘブンに立つ 4
4.何か動き出す
島に入ってから、どこか身体が軽い。躊躇いがわたしの中からなくなったような感じだ。
でもこの感覚は初めてじゃない。今までにも何度かあった。
やるべきことが自ずから見えてくる。そうだ。破壊だ。私は壊さねばならない。全てだ。この目に映るもの全て。
壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して、そして、見つけろ。
何を?何を見つけるんだ?
見ればわかる。
何がわかる?
全てがわかる。
そうか。じゃあそれが答えか。
心の声に従う。気合を入れる。髪を縛る。何かが出ていかないように。目指すは先生の研究所。最短距離はまっすぐだ。
やはりアームヘッドを用意して正解だった。
先生は自分のために必要なもの以外は作らず持ち込まずだったみたいだ。
馬鹿でかい島、植物は育ち放題、だが見かけない種類のものがいくつかある。
発表すれば結構な金になりそうだが関係ない。進む。そして壊す。
声が聞こえる。中からではない、外だ。
ちょうど私が進んでる方向からだ。
「すまないが私が先に上を見て来る。皆はここで待機していてくれ」
そう指示を出し、一人進むと、そこは目当ての研究所だった。
入口の前に人がいる。
あれはイッキュウか。なにやらおかしなものもいる。だが言い争っているようだ。
「エヴォリス」
あれ?今のは私が言ったのか?
なぜだ。わたしはあれを知ってるような気がする。
だがわからない。考えれば考えるほど何かに足を引っ張られる。息が苦しい。まるで溺れるみたいだ…。
何かが横を通り過ぎる。でもその後のことは覚えていない。
**********
「イッキュウ。何か言い残すことはないか?」
俺は今危機的状況にある。
呼んだらやってきた逢世さん。でもなんか俺を見た瞬間発砲。言い合いは強制ノーサイド。その後の照準はずっと俺。なんで?え、あいつは?
だが俺は考えた。これは逢世さんであって逢世さんじゃない、言うなれば逢世さんB的なやつだと。いや、そう思いたかった。
でも正直わからん。なんもわからん。どうする。とりあえず何か言い返した方がいいな。
「髪型、ポニーテールよりツインテールの方がいいと思います」
緊張しすぎて素直に思ってることが出た。さすが心、正直だ。
蚊帳の外なあいつは呆れているようだ。それもそうか。
逢世さんを見る。今にもキレそうだ。そりゃそうだ。
「お前、ふざけているのか」
今にも引き金に手をかけそうだ。だがこれではっきりとした。こいつは逢世さんじゃない。
だがどうする?次の動きまで考えてない…。終わりだ。じいさん。めっちゃ早いけどそっちいくことになりそう。ごめん…。
目を瞑って覚悟を決めたその時。
「お二人とも。特にそこの、えっと、お嬢さん?悪いが彼に死んでもらうと困るのでね。ちょっと彼を借りるよ!っと」
あいつが、トッパが動いたのか。なんか煙い。ちょっと目に沁みる。後セリフがなんか臭い。
手はがっしりと掴まれ、急に引っ張られた!状況が理解できない!
「この!エヴォリスの分際で邪魔をしおって!どこだ!どこにいる!」
逢世さんの声が聞こえる。でもどんどん小さくなる。
そうか。俺、まだ生きてるのか。
安心した途端、身体が重たくなっていった…。
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