第2話 続・完全犯罪ーパーフェクトプラン?ー

 


 ――とある会社のミーティングルームにて



 俺は現在、経理に関するオンラインセミナーを受講している最中だ。

 そんな状況で、俺はまたしても屁について悩まされていた。



しくも、状況は前回と同様……。さて、どうしたものか……)



 この部屋には、前回同様俺を含めて6人の受講者がいる。

 メンツも全く変わらずで、運命の悪戯のようなものを感じずにはいられない。


 俺の状況は前回ほど切羽詰まってはいないが、油断はできない。

 少しでも気を抜けば、菊門から屁が溢れ出してしまうだろう。

 やはり今回も、誰にも悟られないよう放屁を試みるしかない。


 前回と違うことは、アップデートしたプランを用意していることだ。

 具体的には、音に紛れさせるのとスかすのを合わせた複合プランである。

 これならば、仮にスかしっ屁に失敗した場合でも、漏れ出た音を打ち消すことができるため盤石の構えだ。

 表情についても、気を緩めさえしなければ問題ないだろう。


 一つ問題点を挙げるとすれば、俺が前科者だということだ。

 無事放屁が成功したとしても、前科のある俺が真っ先に疑われることは間違いない。


 ……しかし、逆に考えればこれは有利に働くかもしれない。

 例えば俺が「いや、今回は流石に俺じゃないぞ」と言えばどうだろうか。

 疑われはするだろうが、大の大人が二度も同じ過ちを繰り返すとは思わないのではないか?

 最終的に結論は有耶無耶になる気がする。



(……ヤルか)



 しかし、俺がそう決心した瞬間――



 ぷぅ♪



 と可愛い音が室内に鳴り響く。

 気を緩めて俺が屁を漏らしたワケではない。

 今の音は、俺の隣の席、白鳥さんの方から聞こえてきた。


 気まずい雰囲気が流れる。

 まだ誰も反応していないが、確実に音は聞こえた筈だ。

 俺は恐る恐る白鳥さんの方を盗み見る。


 彼女の表情は、完全に凍り付いていた。



(……ああ、これはいかんな)



 そう思った瞬間、俺の覚悟は決まった。



 ばぶぶぶ!



「ハッハッハ! すまんすまん、また屁が漏れてしまった!」



 盛大に屁をこいた俺がそう言った瞬間、他のみんなの時も動き出す。



「なんだ、またお前かよw どんだけガス溜めこんでるんだw」


「いや~、ホントすまない! 芋ばかり食うせいか、常にガスが溜まっていてな~」



 これで、みんなの中で俺は間違いなく屁こき太郎と認定されたことだろう。

 飲み会などで、この噂は瞬く間に広がるハズだ。

 でも、これで良かったのだ。

 彼女の名誉が守れるのであれば、俺は喜んでその汚名を被ろうじゃないか。

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