なんでこんなもの持ってきたんだろう?
-…なんでこんなもの持ってきたんだろう。-
今いるのは近所の公園。そして手に在るのはピンク色のエナジードリンクの空き缶。
そんなものより、欠けたカッターでも持ってくればよかっただろうに。
まず、普通に空き缶を握りつぶす。元々アルミ製もあってか、容易にくしゃくしゃと潰れる。
-【硬化】は自分の身体だけじゃなくて、手に持った物にも作用するのでは?-
これが実験の理由だ。
くしゃくしゃになった空き缶に、目を閉じながら【硬化】よ移れー移れーと思いながら、どこから発生しているかわからない力を移動するように祈る。
すると、ズルっと掌から握りつぶした空き缶へとナニかが流れていくのがわかる。
-…【硬化】が流れて空き缶に入ったか?わからんが…
潰れた空き缶で、公園の遊具を殴る。
潰れた空き缶状に削れる遊具。
「…これ、僕がやったのか。…ハハッハハハハハ!」
【硬化】がどの程度硬くなって、一緒に自分の身体の【硬化】もどの程度作用するかのテストだったが、少なくとも鉄でできた遊具の柱を削り、僕の身体に反動は一切来なかった。
「これほどの力があるなら…いや、現代社会だよここ、力があっても力に訴えかけたらダメダメ…」
僕を自殺に追い込んだ、働いている場所の社長と部長の顔が脳裏によぎる。
物理的な排除は簡単だろう。彼等が鉄より硬いはずがない。
…簡単なテストは終わりだ。自分の手に持った物を【硬化】させることもでき、僕の身体は非常に硬くなる。これだけわかればいいだろう。
公園から立ち去ろうと、踵を返そうとしたところに-
「ねぇ、お兄さん。今【能力】使ってたよね?」
唐突に、ソプラノともテノールとも取れる声を出すパーカーを深くかぶった子が公園の入り口に佇んでいる。
-…いつからいた!?というか俺が【硬化】の実験をしていたのを見ていた!?-
パーカーのポケットに手を入れたまま、その子は無防備にこちらへと近づいてくる。
「ふうん…【身体能力強化】に、自分の手に持った物も強化できるのかな?まぁ…法律違反だよお兄さん」
気付いたら僕の目の前にその子は居て、僕を下から見上げている。
-…上目遣い、こんな状況じゃあなかったらドキドキもするだろうが-
違う意味でドキドキしている。悪いことした小学生が、先生に見つかったような
ドキドキ。
そしてその子は黒い髪に、赤い瞳でこちらを見あげている。
「…現行犯、ってところかな?まあ…叩きのめしてからー」
フッ、と、目の前からその子が消え、直後、背中から鈍い衝撃が走る。
「いっ!?…自動発動!?もう…めんどいなぁ!叩きのめして留置所で話は聞いてあげる!」
そういい、赤眼の子は僕へと襲いかかった来た-
******************************
外にでて、すぐ見つかったねあの子。繧ソ繝翫ヨ繧ケ悪さしてない?
してないよ、心外だなぁ…あの子の悪運だよ。さて…ここから見所だね?
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