ぼくの あたまは スッキリ した!
…どのくらい寝ていたのだろうか。頭は妙にスッキリしている。
先程のは本当に夢だったのだろうか。俺が自殺した世界線の葬式ではないのだろうか。
-…夢だとしても、彼女が出てきたいいだろうに…-
一人にだけに書いた『ありがとう』のメール。今となってはもう再送信もできないし、彼女を両親に紹介したわけでもないから仕方ないだろう。
-…確認できたのは、普段は柔らかいのに、自分の意思でも害意を持って刃を突き立てようとしたら驚くほどの硬さを持つことだ。-
もう少し検証しようかなぁ…と部屋から出ようとした時に、つい本棚に思いっきり足の小指をぶつけてしまった。
「いっ!?……たくねぇ…」
棚からぼた餅。一石二鳥?そんな言葉が頭に浮かぶがはっきりした事がある。
「表皮だけじゃなくて、骨や筋肉も【硬化】されてるなこれ…しかも自動発動」
神が言っていた、【自動発動】というのは嘘じゃないのだろう。小指を思い切りぶつけたのだ。然るべき痛みが帰ってきて、なんなら折れても遜色ないレベル。
しかし、痛みは一切なく、逆に本棚に子指大の凹みができているのだ。
不意にぶつけたのに、僕の子指は一切痛むことなくそこに在るのだ。
「…そういや手紙?便箋?途中で読むのやめたまんまだなぁ…。」
勉強机の方に目を向けると『私を読んで!』とばかりに綺麗に並んだ中から一枚が光っている。
超常現象にも2度も3度も寝たことで慣れてきたのか、苦笑しながら自己主張の激しい便箋を手に取って俺は読むのだった-
******************************
『やぁ、先程は繧ソ繝翫ヨ繧ケが失礼したね!自分が死んだ後の葬式見せるなんて趣味が悪いよまったくもープンプン☆』
いや、完全に生を諦めた俺をここに転生させたお前の方が趣味悪いが?
『ところで異様に思わなかった?お母さんが姿形は変わらないのに緑髪のことに。』
-そう、そこだ。非常に気になっている。-
『この世界には一部、【病気】ということで処理されているが、【能力者】が割とたくさんいる。人間の法でいう犯罪に使えるものから、超人になるような物までね。』
-…ってことは、俺の【硬化】よりやばい能力が割とたくさんいると?-
便箋の文字を眺めながら、読み切った便箋を床に放り捨てながら俺が居た世界と今いる世界との差異を埋めていく。
-…今度神社見つけたら感謝を込めて適当に祈っとくか。-
そう思いながら読み進めていると、机の上に綺麗に並んでいたはずの紙の一枚が顔に張り付いてくる。
-…今度はなんだ、これ読めってか?-
張り付いて微妙にシワの付いた紙を顔から剥がし、手に取る。
『ちょっと!繝倥せ繝?ぅ繧「はこんな極東の神様と一緒にされたら嫌なんだけど!もっとそれっぽい所で祈りを捧げてよね!』
-…神託というか、そういう物安売りしすぎだろこの神様。-
読み終え、どうせまたこういう雑談めいた神託つき便箋は届くだろうとゴミ箱へと投げ入れる。
-…せっかく得た【硬化】の能力だ。ちょっと外に出て実験しにいくか。
俺は適当に部屋に転がっていた長いエナジードリンクの空き缶を手に取り、外へ出た。
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ちょ…あの子よりにもよってエナドリの空き缶もって外に出たわよ?繝倥せ繝?ぅ繧「?
待って、待って繧ソ繝翫ヨ繧ケ…お腹痛くて下界見れない…あの子なんでエナドリなの?馬鹿なの?
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