”俺”が死んだ後の世界
「…嘘つき…なんで…なんで…約束したじゃん!何勝手に死んでんのよ!!!!!!!!!」
親戚の姉が俺の躯の横で叫んでる。
「あんた小説か配信で一山あてて悠々自適に過ごしてそれに私を加えてくれるって言ってたじゃん!?なんで…なんでよ…」
俺の綺麗に装飾した体をネクタイから持ち上げ、揺する彼女。
そこに僕の魂はない。ただ躯があるだけ。
「友達だろ!?もっと相談してくれよ!!!」
そんなことを言われても、もう終わったことだ。言ったところで僕の心の奥底にある根には届かない。
『ごめんな…人に迷惑かけたくないのよ…俺が死んでも問題にならない末端だからこうやって言えてるんだわ。あんなこともあったしな』
上辺っだけの言葉でもきっとこの後輩は満足するであろう。
「うん、そうだね、僕達のことは全く考えてない。まぁこれからわからせていこうよ。学習型AIを彼に…」
用意されてた便箋の中の一枚に、『現世と違い、AIは発達していて人間の感情を勉強している』
それが脳裏によぎったので、咄嗟に嘘をついた。
『…うん、僕はこのまま頑張っていくよ…』
伝わらないだろうが、口に出してしまった。すると葬式に来ている人間たちは皆こちらを見ている。
-…もしかして聞こえてたのか?俺の死体じゃなくて僕の意識がある方を見ている。
直後、僕の意識は引っ張られて今の現世に戻っていく。
-…このまま学習AIが蔓延ったら、人間が勉強していったものは取って代わられるだろう。-
一抹の不安を抱えながら、僕は浮遊感へと身を任せた。
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意識が現在の身体に戻ってきた。…先程のは本当に俺の葬式なのだろうか?
何度目だろう、ドっと疲れた。体は一切疲れてない。今からハーフマラソン走ってこいと言われても「よろこんでー!」といいながら走るだろう。
しかし、脳はもうパンパンである。俺はまた意識を混沌とした頭に委ねて、謎に用意されたベッドへと横になるのだった。
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あの子警戒しっぱなしじゃない。それでいいの?
フフフ…これがいつか私への愛に変わるかと思えば些細なできことですわ…
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