第55話

そいつはあまりにも巨大だった。


 いつかの頃、出会ったことのある人間。


 大切な人と一緒にいた人間。


 だが今は、大切な人を襲う恐るべき存在。


 このままでは、やられてしまうかもしれない。


 今まで狩ってきたものたちとは、違うと感じた。


 恐怖。


 動いた。


 体が勝手に動いた。


 考えるのではなく。


 感じていた。


 本能がつげていた。


 倒せと。


 そいつの背後から氣づかれないように。




 一撃で仕留める。



 

 全身の筋肉をきめ細かく躍動させる。



 

 そいつに襲いかかろうと向っていった。




 体は八つ裂きに切り刻まれていた。



 

 首を噛みちぎる寸前に、体がバラバラになった。



 

 肉塊が生まれた。

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