第54話

強風が吹き、

 大きな雨(あま)の粒があたりをみたし、

 激しく打ち付けられては皮膚が波打ち、

 虎と竜にみまごう、雷が激しく咆哮をあげる。

 光は、踊り、狂い、

 音は太鼓を打ち鳴らす。

 美しい花の畑があった野は地割れがおきて、

 深い、

 深い、

 奈落の顔がおいでおいでと手招きをする。

 地の底から地球の赤い血が流れ出す。

 溶岩は激流であった。

 黒煙が吹き上げて、

 赤と黒の粘ついた流体が溢れ出す。

 風はその爪で大地を激しくえぐり削っていた。

 火の鳥が飛び交い、

 水は氷の刃と化して集約し、

 竜となる。

 凄まじいまでの自然と自然のぶつかり合いは、

 激しくうねり、

 まざり、

 はじけた。

 水は飛び散り、

 空氣は爆発し、

 土は砕け、

 樹は辺り一面に散乱する。

 土(つち)埃(ぼこり)が渦を巻く。

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