第53話
萌は飛び出した。
立ち向かわなきゃ!
あたしが助けるんだ。
今この機会を逃したらもうチャンスは……
今は逃げちゃだめなんだ!
萌は舞から教わった炎の玉を繰り出したが魔力喰いには通用しない。なにもなかったかのように平然としている。
「どうすればいいの!」
「萌、力を借りますよ」
蝶の主は魔力喰いに向かって、はねから粉を飛ばす。
靄(もや)が怪物を包み込んだ。
魔力喰いはくずおれて眠りにつく。
締め付けられていた尻尾の力が抜けて猫は解放され、魔力食いの頭に飛び乗りポンポンと可愛い足を叩きつける。
「助かったにゃ」
「長くは持たないはずです、萌、今のうちに」
萌は急いで信也のほうに向かう。
石の像に両の腕を回した。
蝶が肩に止まる。
お願い……元に戻って
煌めく光の靄のようなモノが信也たちをあたたかく包み込んだ。
信也は元の姿に戻っていた。あたりの状況をぐるりと見回す。
萌の頭をぐっとわしづかみにした。
「大活躍だな、後はおじさんに任せなさい」
萌は信也に抱きついたままうなずいて、ボロボロ泣いていた。
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