第50話
「こっちだよ!」
花畑についた。
膝を抱えた雪篤と、魔力喰いがこちらを見る。
「あいつか……絶対許さないからな!」
舞の右手から熱い炎が燃えさかっていた。
爆発したかの如く、舞が炎と共に突進していく。
炎に包まれた体で体当たりをした舞を軽々と雪篤は受け止める。
「なんか人数多いなあ、シロもお腹いっぱいだし石化でもしておくか」
「やれるもんならやってみろ!」
花畑は爆煙に包まれた。
「嘘でしょ……」
萌は動かなくなった熊谷の人形を抱きかかえている。
戦える者はギータだけになっていた。
「お嬢ちゃん、安全な場所に飛ばすぞ、負ける氣はないがこりゃあ手こずりそうじゃて」
老人が、萌に触れるといつのまにか暗い路地裏にいた。
「おじいちゃん!」
萌の声は路地裏に響くばかりだった。
「どうしよう……」
熊の人形を顔に押しつけながらうずくまる。
頼りにしていた人達も石になってしまい、萌は絶望してしまう。
老人がもしやられてしまったらと思うと、もうどうしていいかわからなかった。
孤独。
もう頼る人がいない。
どうすれば。
どうすれば。
一人は嫌だ。
不安で胸が張り裂けそうだ。
心臓がぎゅうと掴まれるように痛くなってきた。
「むねがくるしいよ……」
熊の人形を地面に落とし、胸をぎゅっと掴む。
「ううう……」
萌は崩れるように冷たい地面に倒れた。
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