第43話
夕ご飯を食べながらテレビを見ていて、信也がふと隣を見ると雪篤はご飯を食べずに、ただぼーっとしていた。
「おい、大丈夫か?」
「ん?」
「ああ、何?」
「大丈夫か? なんかぼーっとすること多くないか最近」
「そう? 大丈夫だよ」
「ならいいけど」
雪篤と信也は同じ部屋で寝ている。
六畳の部屋に二段ベッドを置いて、信也は下で寝ていた。
朝の光がカーテンの隙間から差し込んでくる。
信也と雪篤は魔法の訓練のために朝早く起きている。
タオルケットを払いのけてベッドから這い出ると、いつも信也よりも早く起きているはずの雪篤は、まだベッドの上で寝息をたてていた。
(めずらしいな)
起きる時間になって十分たっても起きる氣配がなかったので信也は一人で部屋を出る。
朝の訓練から戻ってきても、まだ雪篤は寝ていた。
さすがに学校があるため、起こさないとまずい。
二段ベッドについている、はしごをよじのぼり雪篤の肩を揺する。
「おきろー」
雪篤は起きない。
いや、寝ているのではなかった。
目を開けたまま意識がない状態だ。
信也は危うくはしごから転落しそうになった。
「かあさん!!」
大声で母親に知らせに行った。
母親のおかげで雪篤は意識を取り戻すことができた。
母親特製のとっても苦い薬を飲んで雪篤はかなり良くなったようだ。
雪篤は母親に何があったのか聞かれても黙り込んで何も話さなかった。
二人きりの時に、
「あいつに魔力をやってるからああなったんだろ」
「うん」
「そんなんじゃ、おまえ死んじまうぞ」
「どうにかするよ」
「今どのくらい大きいんだよ」
「僕の身長より大きいよ」
「そうとうでかくなってるな……」
「雪篤、俺、お前に死んで欲しくないぞ」
「僕だって死にたくないよ」
雪篤は暗い顔をしていた。
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