第40話

 勢いよくドアを開ける。

「いらっしゃい……」

 舞はお客さんと思いあいさつしようとする。

少女は舞の腰にぎゅっとしがみついた。

「まいちゃん!……おじさんが……おじさんがああ……」

 萌は感情が溢れてしゃくり上げる。

 舞は大丈夫だよと優しく声をかけて、萌を抱きしめてあげた。

 萌は落ち着きを取り戻して廻りを見る。

 あの変な客以外お客さんはいなかったので、信也に何があったのかを説明し始めた。

「悪いが、緑茶はないかのう」

 熊谷「申し訳ありませんがご用意がありません」

「い! 古(いにしえ)の魔法使い!?」

涼太郎は、一つ席を空けて座った老人を見て驚いた。

「おお、わしを知っておるか」

「な、なんで……こんな所に……」

「お嬢ちゃんの話を聞きなさいて」

老人は熊谷が入れた紅茶をずずずとすする。

 萌は説明を終えるとまた泣きだした。

 舞が抱きしめて頭を撫でてやる。

「あたしのせいでおじさんが……」

「萌ちゃんのせいじゃないよ、大丈夫なんとかなるよ」

 涼太郎が身を乗り出す「僕も手伝うよ信也さんにはお世話になってるし、それに古の魔法使いギータ・マルク様もいる」

舞、熊谷、ギータ、涼太郎、萌はすぐに信也を助けに行くことにした。

 萌は蝶のはねを生やし、舞は箒に熊谷を乗せて、ギータはドラゴンの翼を生やし、涼太郎は両手を広げて飛んでいった。

 行き先の案内を萌がする。

(おじさん、今助けに行くからね)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る