第39話
「しゃ、しゃべれるの?!」
「はっはっはっは」
すごい速さで空を駆けていった。
髪がなびく。
息をするのもやっとだ。
ドラゴンの鱗はゴツゴツで硬かったけど、あたたかいぬくもりが感じられた。
萌は信也のことを思って一人泣いていた。
飛ぶ速さが緩む。
「お嬢ちゃん、いったいなんで魔力喰いに襲われていたんだい」
「それがね」
萌はドラゴンに今までのいきさつを説明した。
「そうか……あの坊主がな」
「その……おじさんを助けて欲しいの!」
「もちろんそのつもりじゃが、わし一人だと心許ない、坊主の店に娘っことぬいぐるみがいるじゃろ、あの二人にも手伝ってもらおう」
「ありがとう……」
信也の店の前。
萌をおろした後ドラゴンの姿は、だんだんと小さくなりおじいさんの姿になっていた。
風貌はマントを着て帽子をかぶり、いかにもな魔法使いだ。
「おじいちゃん、魔法使い?」
「そうじゃね、なかなか男前じゃろ?」
「うん、助けてくれてありがと」
「どういたしまして」
んーと言いながら老人はひげをしごく。
「とりあえず中に入ろうかの」
ちょっとまったと言って老人は萌の持っている檻に触ると檻はポン! っと煙をだして跡形もなく消え去りいつのまにかさなぎになっていた幼虫は解放された。
手の平にのったサナギを萌は上着のポケットの中にしまい込んだ。
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