第31話

「萌は危ないからお留守番だよ」

「やだね、ぜったい行くよ。あたしがよばれてるんだもん、あたしがいかなきゃ。おじさんがあたしを守ってくれるでしょ?」

(人の話を全然聞き入れてくれないもんなあ)

 準備をして店に向かう。

 朝ご飯を食べてからまたあの地下の部屋に行って、信也は萌と助けを求めている者の繋がりを使って居場所を探した。

「山だな、長袖長ズボンを着ていこうか」

「えー、かわいい服着たい」

「はあ?」


 萌になんとか山用の服を着させることに成功した。

「よし、練習がてら空を飛ぶ訓練をします」

「空の飛び方は人それぞれです。萌はどんな風に飛びたいとか、なにで飛びたいとかイメージはあるかな」

少女はんーと顎に手を置いて考えた。

「はねを生やしたい」

「は、はね? じゃあ、そのはねをイメージしてみなさい。信じる心が君の魔法だ」

「信じる心?」

「魔法を信じるのさ」

「魔法を信じる……」

 萌は、目を閉じた。


 はねを背中に


 魔法を

 信じる。


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