第28話
虫たちから報告があり、猫がいるところへ向かう。
ニャーン。
街中の裏道。
薄暗い、ビルとビルの間の道。
太陽の光は遮られ、どこかうら寂しい印象がある。
そこに一匹の猫がいた。
胴体は白と灰色。脚は靴下をはいているかの様に、顔の中心と耳は暖炉の中に頭を突っ込んだかの様に、それと尻尾が黒い毛並みのシャム猫だった。
サファイアブルーの瞳がこちらをじっと見つめている。
「どうやって捕まえるの?」と萌が聞く。
「ふっふっふ、ジャーン」
舞はクラッチバックから猫缶を取りだした。
これでおびき寄せるというわけだ。
プルタブに指をかけて、蓋の部分を引っ張り上げる。
カリリリリ。
「はい」と言って舞は萌に缶を渡す。
舞は猫に近づきたくないのである。
萌はゆっくりと近づき、猫缶を置いた。コト。
「はい猫さん、どうぞ。おうちに帰らない?」
シャム猫は口を開く。
「そんなちんけなものは食べないにゃ」
二人は口をぱっくりと開けて呆然とする。
萌はしゃがんだ体勢で振り向いて、後ろにいる舞を見た。
「舞ちゃん!」
「どうやら普通の猫じゃないみたいね」
「普通のシャム猫だにゃ」
「どこがだよ」
シャム猫は自分の顔を撫でる。
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