第27話

「私に関心を持ってくれてるから。大人になったらだんだん、だんだん怒ってくれる人がいなくなってくるんだよ。本当に寂しいなって思うようになるよ、大人にならないとわからないけど、もっと怒られたいなって思うようになる。それで……そうだな、自分を叱ってくれる人は大切にしたほうが良いよ、自分のことを見てくれる人だから」

「私さ、グレてた時期があってね、そのとき店長に怒られてさ、怒られたけどなんか嬉しかったんだよね、誰も怒ってくれる人がいなくてその頃。それであたしのこと叱ってくれる店長のとこに今はやっかいになってるわけ」

舞は嬉しそうに話していた。

「よし、猫探そっか!」

「うん!」

 萌は魔法の力で虫にお願いして、猫を探してもらうことにした。

 虫はいたる場所にいる。

 そこにも、

 ここにも、

 あそこにも。

見つかるのは時間の問題だった。

 た……けて

(え?)

萌の頭の中になにかの声が聞こえた。

 なんだったんだろうか。

「舞ちゃん聞こえた?」

「なにが?」

「何か聞こえなかった?」

「なーんにも」

「そっか」

 萌は氣にしないことにした。

 この時、誰かが萌に助けを求めていたともしらずに。

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