第24話

 休日は信也の店で宿題やら本を読んだりして萌は過ごしていた。

 いろんなお客さんが来るんだなあと萌は思った。

 例えばこんな人。

 カランカラン。

「こんにちはー」

 舞があいさつをすると入り口には誰もいなかった。

(あれ?)

「なんで扉、開いたんだろう」

 舞がいぶかしんでいると、今日も舞ちゃんはかわいいねえと、床から声が聞こえてくる。 舞が声のするほうへ 目をやると、男の人がほふく前進でカウンター席に向かっているのだ。

 舞はあきれた表情をしながらも、

「いつものでいいの?」と聞いた。

 男は「もちろんだよ、舞ちゃんが作るのなら、例え頼んでないやつが出てきても食べちゃうよ」と、喋りながら椅子をよじ上っていた。

舞は慣れた手つきでコーヒーとトーストの準備をする。

「おじさん、あの変な人お客さんなの?」

「うん、お金を落としてくれる人だよ」

 変な男は萌のほうを見て、

「ちょっと信也さん、その言い方はどうかと思うけどなあ」

 と言う。

「あはははは」

 信也は笑ってごまかした。

「しかし、そこの美少女は誰だい? 信也さんの親戚かなにか?」

「うん、ちょっとあずかっているんだ」

「良かったら仲良くしてね」

 キラっと効果音が出るんじゃないかと思うようなウィンクをして、変な人は萌に話しかけてきた。

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