第22話
母親を襲った者たちが萌の魔力を狙って襲いに来る可能性があるため、護衛として送り迎えをしていたのである。
「学校楽しかったか」
「うん」
「ねえ今日、図書館よってもいい?」
「おう、いいよ」
熊谷は人前にいるときは人間の姿をしている。髪はミディアムヘアーで背の高い身だしなみの整った、お洒落な雰囲氣の若者になっていた。
近くの市立図書館。
公民館と一緒になっていて、小さいホールなどのついている施設だった。
図書館としては別段大きくない施設だったが、本が好きな人が運営しているようで、利用者としてはとても利用したくなる良い図書館だった。
ゆったりとした読書スペースに、本棚の間も余裕があり、他の人が来ても通るのに邪魔にならない。借りた本が記録されていき、本を借りるのが楽しくなるように工夫されていた。
二人で中に入ると怒鳴り声が聞こえてきた。
萌は怖くて体を固めた。
「だからなんで借りられねえのよ!」
「図書カードを作らないとお貸しすることはできません」
「どうにかしろよ!」
熊谷は、
「なんだあのじいさん、めちゃくちゃだな、ぼけてんのか」
と言った。
まわりの人は怒鳴り声の主を見ている。
貸し出しカウンターには二人の職員がいて、対応していないほうの人は目を見開いて口を開けていた。
「客商売で笑顔がねえのはおかしいんじゃねえか!」
もう全然関係ないところに話は飛び火するし、そもそも図書館は商売をしていない。
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