第19話

キーンコーンカーンコーン。

 給食の時間になり、にんじんとジャガイモの塩こしょうで味付けしたスープと魚、ご飯、ほうれん草のゴマあえ、牛乳、フルーツポンチを食べた。

 男子たちはおかわりをしてガツガツほうばっている。

 よくあんなに食べられるなと思う。

 どこにはいっているんだろう。

 あんなに食べたらお腹が破裂しちゃうよ。

 ご飯は美味しく頂きました。

 お昼休みになり、花ちゃんと話していた。

「萌ちゃん聞いてよ」

 花ちゃんはウキウキした笑顔で話しかけてきた。

「なに?」

「この前さ、夜にお母さんと一緒に出かけたんだけどね」

「うん」

「自転車が、空に飛んでたの」

「えー!?」

 信也おじさんだと思った。

 自転車で空を飛ぶとかおじさんしか考えられない。

「嘘だあ」

「ほんとだって」

 教え一。

 魔法使いは正体を知られてはならぬ。

「だって月の影になっててね、自転車こいでたよ、だれか知らないけど」

 教え二。

 魔法使いは人前でむやみに魔法を使ってはいけない。

(おじさん……おもいっきりみられてるんだけど、いいのこれ……)

「そ……そーなんだー、不思議なこともあるんだねえ」

 作った笑顔が引きつるのがわかった。

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