第17話

さすがに九対一じゃ無理でしょ諦めなさい」

 と萌の母が言った後の瞬間だった。

 雷光がきらめいた。

 九頭は電撃をくらってその場に倒れ伏した。

「一体なに!?」

 黒いマントの男が茂みから現れる。

「あぶないあぶない、さすがにそんなにいっぺんに来られたらどうしようもないや」

 男は魔力喰いの横に立ちそのつるつるとした体を撫でる。

 魔力喰いは電撃をまともに受けていたが魔力の攻撃は大概吸収してしまうため無傷だった。

 その男は少年のようだった。いや少年だ。

しかし、少年にしては、まとっている雰囲氣が子供のそれではない。

「誰なのあなた」

「お前に名乗る名はない! なんてね」

 少年は呵々大笑した。

「はーあ、とりあえずおねえさん、殺しはしないけど、魔力は頂くよ」

信也の様子はその少年が現れてからおかしかった。

 萌と繋いでいた手の汗が尋常ではないのと震えているのだ。

(うえええ)

 萌は手を離して服で拭いた。

「雪(ゆき)篤(あつ)……なのか……」

 信也は独語した。

「シロ、もういい、それ以上吸うと死んでしまう」

 魔力喰いは言うことを聞いて尻尾にある口を萌の母親から離した。

「病院まで連れて行くぞ」

 と少年が言った後、周りの景色とそこにいたものたちの姿は消えて、真っ暗闇に信也と萌と蜂だけが残った。

 蜂が突然光ったかと思ったら、その光は膨張していき、そのまま人の形になって萌の母

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