第14話

氣がつくと、どこかを漂っていた。

 来たことがあるような、どこか懐かしくもあり、知っている場所の氣さえした。

居心地が良かった。

 お母さんに抱っこされているみたいな氣持ち。

 ふわふわふわ。

 手をつないでいる信也に導かれている。

「おじさん、ここは?」

「お母さんの夢の中というか、心の中と言うべきか……わからないや」

「だめじゃん」

「うるさい」

「お母さんどこだろうね」

「ここにいるの?」

「いるはずだけどな」

 いつの間にか森の中にたどりついていた。

 木々は生い茂り、足下の草もボウボウだった。

 二人で道なき道を進む。

 モーモー。

「森に牛がいやがる」

 川には魚、アヒル。

 イノシシがいて。

 鹿も遠くからこちらを見ていた。

 蜂がブーンと飛んできた。

「蜂さん! お母さんはどこ?」

 蜂は萌のまわりをぐるぐると飛んでいたがゆっくりと、導くように飛び始めた。

「萌は虫と会話できるの?」

「なんとなくね」

 萌と信也と蜂は空をぷかぷかと浮いていた。

 太陽は真上にある。

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