第12話

萌は熊谷をだき抱え、ぎゅっと抱きしめた。

「ぎゃー助けてくれ! 信也! 舞でもいい!」

 そんな熊谷を相手にはせず信也と舞は会話をする。

「ねえ昨日も出たみたいよ」

「んー、みたいだね。それで夜、出歩いてたから」

「ま、そのうち会うんじゃないかなあ」

 舞は無言で洗い物をしている信也を見ていた。

 

 洗い物を終えて、信也は濡れた手を白いタオルで拭いた。

「萌、ちょっとおいで」

「うん」

 遊んでいた熊のぬいぐるみを置き、椅子から降りて萌は信也についていった。

 奥の倉庫に行くと、地下へ続く階段がある。

 そこを降りると、部屋があった。

 部屋の中には大きな箱のような金属製のテーブルがあるだけ。

萌が扉を閉める。

 信也がパチンと指を鳴らす。

 じわり――と

 テーブルに線が浮かび上がってきた。

それを見ていると、この地域の地図を表しているのがわかった。

「今から俺が呪を唱えている間、お母さんに会いたいと念じてて」

 萌はこくりと頷く。

 少女の肩に手が置かれ、地図のほうに手がかざされる。

「捜し物欲し、放浪人は訪ねる、訴える、繋がりを求め、痕跡をたどる、応え(いらえ)、指し示せ」

たちまち、どこからともなく、青緑の光が部屋に集まり、テーブルに集っていく。テーブルが光り輝いたかと思うと、その光はさらに集約していき、ある一点に寄り集まり、場所を示した。

「ここにいるみたいだよ」

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