第10話

「あー、昨日公園で会って……」

「さらってきたの?」

 舞が大きくて力強い瞳をさらに大きくしながら信也に聞いた。

「やっぱりそうなるのかなあ」

 信也は舞に成り行きを説明しながら朝食の準備をする。

トーストしたパンに卵焼きと、レタスをサンドして特製のソースをかけたサンドイッチを作った。

 パンの焦げあとと半熟の卵が湯氣を立てて美味しそうだ。

 説明を聞き終えた舞は、

「そっか」

 と言って納得したようだ。

 調理の手伝いをしていた舞がカウンターからサンドイッチののった皿を萌に差し出す。

「よろしくね萌ちゃん」

と花のような笑顔を向ける。

 皿を受け取りながら、

「おねえさん美人ね」

 と萌は言った。

 舞目当てで来るお客さんも多い。背の高いスラッとした美人だった。

「ありがと」

 と舞は笑顔で受け答えた。

 萌はサンドイッチを口に運び、美味しいと言って天使の笑顔を信也に向ける。

「ってことで今日出かけるから店よろしくね」

「えー私も行きたいー」

「はいはい」

「ほら熊谷(くまたに)もいるじゃん? 私も行ってもよくないかな」

「熊谷一人じゃ店回すのに限界あるでしょ」

「そうだけどさあ」

「舞、サボろうとしても無駄だぞ」

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