第6話 感染者が闇と共に動き始めた!

『暗くなり始めたら昨日と同じく真っ赤な眼で狂った動物達は人間への攻撃をまた行う。アウトゲノムも夜間には動き出すだろう。』と脳に伝わって来ていた。その時は直ぐにやって来た。仕事から解放された人々が街に広がり、賑やかさが始まって来た飲食店が立ち並ぶ歓楽街。夕方が終わり夜の街灯が着き始めた頃に変化が始まっていた。昨日ネズミに噛まれる被害にあった人達が風邪でも引いた様な寒気を感じ、誰からか分からない言葉がメッセージの様に声が聞こえて来た。『暖かな陽射しが心を清め、広い心地よいこの楽園へ共に向かいましょう。』の言葉でスイッチが入ってしまったかの様に目の色が変わり髪も逆立ち、口からは上下4本の牙が伸びて来た。東京の街のあちこちでこの騒ぎは広まり、これらに襲われた人達は直ぐに同じ様な変化を始め、あっという間に人から人への感染は広がって行った。これを食い止める為に各地では警察や機動隊が動き出していた。私もその騒ぎが起きていて会社から1番近い東京ステーション周辺へ向かっていた。電車内やバスの中でもアウトゲノム化した人達が暴れ始め東京周辺の他県でも同じ事が同時刻で起こり、交通障害を起こし始めていた。もうすでに警察庁による周辺の封鎖が始まっていた為、変化した身体になってビルの上から暗視スコープ機能で封鎖された問題の中心部を覗き込んでいると4〜5人の男女が機動隊ともみ合いになり叫びながら暴れている。直ぐに何が起きているかは推測出来ていた。このままでは被害は広まって行くだけだと確信し、あれしかないと飛び立った。背中から広がった羽を最大限に広げて、光線でも発射するかの様に小刻みに振るわせた。スケールシャワー(鱗粉のシャワー)をその人達へ降り注がせた。すると途端に動きが止まり、眠る様に座り込んで行った。1分もすると目を覚まして先程までの目の赤く光も無くなり、落ち着きを取り戻した人達は何が起こったのか先程まで暴れていた記憶が無くしていた。この後、情報通りの各地を周り同じ様にスケールシャワーを降り注がせて感染した人達を元の状態に戻して行った。時間は掛かったが騒ぎは収まりあの収監された人物が予言した『最後の審判』へと繋がる事件は静かに幕を閉じた。だがこの事件で混乱が続いている最中にもう一つテロ組織による侵入脱出が起きていた。

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