第4話 助けを求める声に向かえ!

 今ではテレパシーと思われる危機察知機能が追加されて、知らない間に事件現場近くに向かい警察や機動隊の警備をすり抜け強盗や立て籠り現場に侵入し犯人を動けない様に両手と両足を縛り付け、人質になっていた人達の安全を確認し気配を消してその現場から飛び立ち続けて来ていた。

こんな事が早朝から深夜に掛けて事件や事故は起きていた。

その頃、遥か宇宙の空間で飛行を続けていた超巨大で荒々しいシルバーメタルが地球の衛星である月に現れ出した。

月面裏側で先行侵入部隊からのブルー光線のサインが宇宙空間で確認が出来た。

地球上でも何かが起こり始めていた。

暫くして埼玉県の戸田市に仕事の用事で出掛けていた。

そう言えば、あの娘の会社がこの辺だった事を思い出していた。

その時少し開けてあった車の窓の隙間から焼け焦げた匂いがして直後にまた『熱つい・・!助けて・・・誰か・・・お願い・・・!熱い・・!』と言う叫び声にも近い感覚が脳裏に届いた。

見えなくも大体の方向と距離は分かっていた。

後方からサイレンを鳴らし複数の消防車と救急車が走り抜けて行った。

そのせいか道は渋滞しその場へ向かうにも道が塞がれていた。

先程から何人もの人たちからの助けを求める声が絶えず聞こえていた。

だから事態が悪化している事は想像出来た。心臓の音が速くなり周りの音や物が物凄い速さで動き出した。

するとフロントガラスに映る外観が瞬きしている間に周囲の屋根を映し出し、煙が上る方向へと進み出した。

そして私の体にも変化が始まり、見えている手と指が黒く光沢を持ちコーティングされた様なグラスファイバーかカーボンファイバー的な硬さになり胸や腹部も硬い鎧を着せられた様な感じがしていた。

自分が怪獣にでも変身してしまう恐怖心と全身に電流が広がる様な今まで経験したことの無い感覚とで目の前が真っ暗になり絶望感で気を失いそうになっていた。

顔にもフェイスガードが掛かった状態で徐々に皮膚と一体化し黒いカーボンファイバーと遠くまで見渡せるオートフォーカスな視界が広がっていた。

その時、あの声が聞こえて来た。

「私に触れないで!とても危険だから !」の声だ。

『今あなたの中であなたの体に起きている変化は現実です。そして、周りで困っている方へ、救いを求める方達の元へ向かう救護心と悪を許すことが出来ない正義感それらがあなたが選ばれた理由なのです。その身体はあなたが感じた状況により様々な変化をさせ生命を守り、あらゆる危機に反応する為の特殊な変異遺伝子エネルギーが全身を保護している。ただし元の姿に戻る時は体全体を水に濡らして下さい。だからあなたは水の中では普通の人間のままで超人的な動きは出来ない事を理解しておく事。そして身体には少しづつ疲労やダメージが残るから体を休める事も必要です。最後にこのパワーはあなたが善意を無視して自ら凶悪感情にこの変化能力を利用しようとした時、変異遺伝子はエネルギー反応を0(ゼロ)にする設計セッティングがされています。それがあなたに課せられた使命です。』とまたテレパシーで頭に伝えられた。

時が止まっていた様に今のイメージが伝わった時間は10秒程だろうか。

着ていた制服を脱ぐと予想通りのプロテクターによる変化した身体が見え出した。

まるで全身を防弾のスーツか水中に潜る為に着るウエットスーツの様でただ身軽で全く窮屈な感じはしない。

カブトムシやクワガタの様な硬い皮膚を見ている様だった。

目の前の光景に目を向けると何かの工場の様だ。

空中を旋回し周囲の状況を確認し近くの公園に車を下ろし、風に乗る様に現場の向かいのビルの屋上へ着地して状況を伺った。

複数の消防車からの放水は続いついて、また救出されない方達も残っている事は分かっていた。

出火原因が1階である事から逃げ遅れた人達は2階・3階・4階と屋上付近に煙を避けて救出に来るのを待っている筈だ!

 先ずは火災現場に近くで救出の叫び声がしていた2階部分に窓ガラスを突き破り飛び込んだ!

そこは全て煙が煤化して一面の真っ暗闇状況になっていた。

空中を移動する時に開く背中のウイングが風を作り、身体も若干硬く何かに覆われた状況となり目にあたるミラーポイトから黄色に輝く光で周囲を照らし出した。

頭から伸びた触覚でイメージ画像が倒れている人の場所を特定し、導いた。意識を無くした男性を担ぎもう1人もほとんど意識がないか肩で担ぎ上げて3階へと向かった。

階段部は煙と熱風で2人の体がもたないと感じた時、背中のウイング羽の部分が2人の体と頭を包み込んだ!

これで行けると思い瞬時にスピードを早め3階のやはり反応があった1室に入った!

そこにも煙は広まっていたが状況は天と地の差であった。

窓側に橋号車の伸びてくるのが分かった。

そこへ2人を下ろし、この部屋で苦しんでいる女性を窓際へ運び窓を開け顔を覗かせた。

消防隊がそれに気付いた事を確信して他の部屋へ向かった。

3箇所目の室内で人感センサーが反応した。レーザーを照らすと震えながら苦しそうに呼吸を乱している男がいた。

その男は火傷を負って煙か爆風を受けて逃げて来たんだろうか?

目が見えないんだと分かった。

『誰だ!救助するなら他の奴を先にしろ!オレは後にしろ!』と背を向けた。

この男の心が読めていた!コイツが1階の工場に石油を撒き火を付けた犯人である。

『死ぬんだったらもっと近くに連れて行く!』とその男が暴れるのを抑えて階段の方へ向かった。

すると息が出来なくなり、熱風にてかなりの暑さを感じせた。

『助けて下さい・・・!助けて!』と気を失わさせて先程の救出中の窓近くにその男も寝かせた。

先程の音声を拡大させその窓の外へ流した。『助けて下さい・・・!助けて!』

これに気付き救助隊が再度梯子を伸ばした。次は4階へ向かった。

その時に『ズドンッ!』と言う響きとともに階段の空間部分に火炎放射の様な勢いで熱風と共に炎が噴き上げた。

その風を抑えながら舞い上がり4階の手前の部屋へ飛び込んだ。女性4人の外国人らしい人たちがベランダ側に固まっていた。

私を見て怯えている様だった。

皆泣きながら何語で話しているか余計に分からず、テレパシーで話しかけた。

『もう大丈夫だから!安心して!』と『向かいのビルまで1人づつ運ぶから大丈夫!』再びテレパシーを送った。

周りの仲間とこの事を話している様だ!OKとサインすると全員『OK!』と話せた。

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