第8話

専門学校で服を作りはじめた。スカートもパンツもブラウスもワンピースも、ジャケットもコートも、だんだん作れるようになっていった。作品を作るたびに、ショー形式で、先生方やみんなに見ていただくんだけど、ボクは女の子みたいな体なので、いつも作ったのを自分で着てショーに出てた。

女の子みたいな体なのも、こんなところでも役に立ってるみたい。


家で課題の服を作ってるけど、イレーヌちゃんもいるから、見てもらっている。

イレーヌちゃんは日本好きだけどフランス人の感性もあるから、イレーヌちゃんと暮らしていて、めっちゃ頼もしい。


ボクは出版社の広告部に就職も決まった。

面接の時に

「うちの会社は女性誌も出しているから、女性的なのも活かせられますねっ!服飾の知識や技術も、女性誌の広告で発揮できますしねっ!」

って言っていただけた。


イレーヌちゃんは美術館博物館の学芸員と、図書館司書の資格も取得して、なんなら中学・高校の美術教員免許も取って、関西の美術館に学芸員として就職した。

フランスと日本の美術の架け橋になるみたい。


出版社で働きはじめて、広告部の先輩に

「あやめちゃんはいいよな~。女の子みたいで!女の子みたいなのも、うちの女性誌の広告で、めっちゃ活かせられるやんか!」

って誉めてもらえて嬉しかった。


女性誌で美術の特集をやるので、編集部と広告部とでも打ち合わせをやった。

ボクは美術館で学芸員として働いてるイレーヌちゃんを紹介した。

編集部と広告部で、美術館に取材と撮影に行った。

イレーヌちゃんも働いてた。

イレーヌちゃんも色々、美術に関する話を嬉しそうにしていた。

フランスも日本も好きなイレーヌちゃんは、それぞれの美術の良きところや関わりなどについて語ってた。

イレーヌちゃんの働いてるところを撮影する時には、ボクもレフ板を持って、イレーヌちゃんに当てて、イレーヌちゃんを可愛く撮影してもらった。

雑誌を見るの楽しみやあ~!

最後、美術館を出る時

「ありがとう」

ってイレーヌちゃんにチュッてされた。

「家で、なんぼでも出来るやんかあ~」

って言ったら笑ってた。

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