第3話

〈体育館〉

真一「演舞の前に、演劇やるんなら見てよっか」

巧「そうだね」



演劇部の司会、坂寺優菜(さかでらゆうな)がマイクを持ち、「ではでは、混ぜ混ぜ昔話をしまーす」と言って幕は開いた。

優菜「昔々ぃー、竹取りの翁というのが赤ずきんのワインを届けてもらうために、カニをもってきました」


真一「カオスすぎて草」

巧「翁さんが、カニを持ってる、っていう認識で良いのかな?」

真一「じゃないかな?」


翁役の仙道裕次郎(せんどうゆうじろう)が、ワイングラス片手にやってきた。


仙道「うぃー、ヒック、ヒック、赤ずきんのところに、ヒック、行かないとなぁ」


真一「カニいないし」

巧「酔っ払ってるなぁ」


優菜「結婚式に間に合わないと思い魔法使いに、カボチャの馬車を作ってもらい、会場であるネズミの巣穴に向かう」


仙道「おぉい、魔法使い、ヒックヒック」

魔法使い役、綴愛梨(つづりあいり)が「あいよー」と剣道の防具を着けて現れた。

仙道「カボチャの馬車を作っとくれ、ヒック」

愛梨「はーい」

カボチャの馬車に乗り、ネズミの巣穴に落ちる。


観客そっちのけの劇が、終わると次の次の次が、演舞だったので、「見ててね?」というと真一はグッドサインを送った。



〈警察署〉

村瀬ビットダムの人事部、折永光俊(おりながみつとし)が、警察署にやってきた。

光俊「佐々井さんが亡くなった、っていうのは、本当ですか?!」

田枝「はい」

光俊「そ、そんな、あの、プロジェクトはどうなるんだ?」

田枝「プロジェクト、秘書の佐々井さんが関わるものがあるんですか?」

光俊「そ、それは、はい、あの、村瀬ビットダムで、アイドル育成する話しがありまして、それでツテというかコネがあったので」

田枝「ほぉ?」

光俊「佐々井雪道(ささいゆきみち)っていうスタジオの社長のオジにあたるとかで」

田枝「なるほど」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る