高1の春 season 7

その翌日に、

いつも通りに、学校に行って部活が終わって、

寄宿舎に帰って夕食も済ませてお風呂もして、

部屋に戻ってスマホをいじると、


メールの通知が2件ー。


母と陸翔だった。


結乃「…え。今日も陸翔から来てるやん。」


「お疲れ様。今日も疲れたね。」と、

シンプルな内容だった。


「こちらこそお疲れ様でした。」と、

返事をして、陸翔の方からいろいろな話題を

持ってきてメールが止まらなかった。


結乃「あれ。今までメールすらあんまりしなかったのに、よく話題を持ってくるなぁ。意外だなぁ。」


次の日も、その次の日も、次々にも、

いつも陸翔からメールが来る日々になった。


夜、こっちが自習時間が始まる前、

いつも「また明日ね。自習時間、頑張れ!切磁琢磨だ。」と来て終わり。


陸翔の同級生の3人も寄宿舎生だったから、

寄宿舎の時間やルールとか知ってるみたい。


陸翔はよく“切磁琢磨”を使ってた。


“切磁琢磨”の意味は、

友人同士がお互いに励まし合い、競争し合って共に向上するという。


陸翔に似合いそうな四字熟語。


陸翔と話す機会が増えて、話は楽しくて

気も合って、自分は少しずつ気になり始めた。


ある日。

同級生の心春と給食が終わって、

片付けで一緒に歩く時。


心春「結乃、好きな人はいる?」


結乃「え。好きな人…?」


心春「もしかして、坂田?」


結乃「なんで、そうなるの。んなわけない。」


心春「なんだぁ。だって、毎日に坂田とメールしてるんでしょ。だから…かと思った!」


結乃「あ、うん。毎日にしてるけど、あれは暇人。」


心春「聖…?」


結乃「聖?何も思わん。でも、気になるかなっていう人はいるかな。」


心春「誰なの?」


結乃「うーん。陸翔かなってね。」


心春「陸翔か!私とは幼馴染なの。優しくて面白そうだよね。私は聖!でも、モテモテ…」


結乃「確かに、分かる…」



給食時間に、

高1から高3まで、1つの部屋で一緒に食べる。

週ごとに、1列交代。


坂田、聖、陸翔、心春、わたしは

いつも話す遊ぶメンツだった。


心春の席はメンツのみんなと話せてて、

羨ましかった。


数日後ー。


給食が終わって、心春がわたしの所に来た。


心春「結乃、さっきね。給食の時、好きな人の話題をしたの。で、陸翔は好きな人がいるってよー…」


結乃「へぇ。そうなんだ。」


心春「でも、知らない。純葉(いとは)っていうらしい。誰だろう…」


結乃「純葉?あ、噂の通りだった。前は好きように見えたからやっぱりか。」


心春「え、知ってるの?」


結乃「知ってるよ。だって、ここの中3の子だよ。」


心春「え。そうなの。」


結乃「身体が細くて笑顔がすごく可愛い子なんよね。男子たちからよくイタズラされてるし。ほら。あそこが中3の教室であの女の人だね!」

と、向かい側に中学部の棟があって

こっちの廊下の窓から見えて、心春に教えた。


陸翔の好きな人を知ったわたしは

すぐ諦める事にした。


好き!という気持ちまできてないし、

それより陸翔と純葉はお似合いだから

陸翔の恋に応援する事にした。


わたしの気持ち的は、友達として楽しんでた。


けど、相変わらず、毎日毎日に

部活が終わって寄宿舎に帰っても、

土曜日は朝から昼まで陸上の練習をして

終わって自宅に帰る時も、

休みの日でも、陸翔からメールが来て

やり取りは続いてた。


純葉が好きなのに、なぜ毎日わたしに…?と

疑問は持っていた。


いつに終わればいいのか分からなくて、

あれからやり取りをする時、

いつもわたしからキリがいいところに

返事をしなくなった。


数時間後に、

またメールが来て話題や質問ばかり。

メールは止まらなかった…


「どんだけ暇人なの…陸上の練習は…普通の学校に行って混合練習があると聞いたけど…」

と、思った。


わたしは友達として

楽しくやり取りする感じだった。

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