最後までのあらずじ
どこか遠くのあるところでの物語。
度重なる生存の危機に瀕した人類の文明はほとんど失われていた。かろうじて残された街がこの物語の舞台。その街は一部の上層階級とペンも持てないような沢山の下層階級に分かれて、お互いが最低限の干渉をすることによってかろうじてお互いの平和が保たれていた。
限られた資源はテクノロジーにより完全なリサイクルが可能となって、人類は何とか生き延びていたがその技術を理解しているものは一人もいない。
仕事も収入もない下層階級たちは、食欲を減退させるためにあえて青色に着色された彼ら専用の合成飼料になぞらえてブルーカラーと呼ばれていた。
主人公ヨナは街の食料を分配するための局員の一人だった。
ある日彼の住むアパートに街の保安をつかさどる平和贈呈局員たちが訪れた。危険な合成薬物のコネクションがあるという。ヨナは無関係だと思いつつ、運よく逃げ延びたブルーカラーの娘を今日買った娼婦だと偽りかくまってしまう。
彼女には人類から失われた才能である創造の力があった。
彼女をどこかにあるといわれる創造局へ入局させる事を考えつつもなかなか行動に移せないヨナ。そうしているうちに彼の部屋は彼女の創造の場となる。
ある日、唐突に彼女が肉が必要だという。彼は言われるまま昼食の肉を持ち帰ろうとするが失敗する。その夜、彼女から今日が彼の誕生日であり、彼はヨナという名前を与えられる。
後日ヨナは、唐突に気まぐれを起こし規定量よりも多くの食料を分配するが、そのせいでその人物は事件に巻き込まれ死亡してしまう。
平和贈呈局員に協力するふりをして犯人を追う、それは同僚の男だった。
彼は同僚を許すと同時に、平和贈呈局を敵に回してしまう。
急いで部屋に戻り、彼女を連れ出そうとしていると部屋に平和贈呈局員たちが乗り込んで来てブルーカラーの娘が負傷する。暴徒化したブルーカラー達から局を防衛するために特殊な戦闘訓練を受けている食料分配局員である上に、偶然、暴力での決着を行う名誉評議の決闘者として招集されていたヨナは、平和贈呈局員たちを一時的に圧倒する。しかし、結局最後には捕まってしまう。
娘の気転により街に充満するガスに火が付いてその混乱に乗じて二人は地上に収まりきらないブルーカラーたちが住まう地下空間へと向かう事になる。
地下空間クルードでかつての友人ロジカと再会した娘の名をこの時初めて知る。彼女の名はエリス。
クルードの住民は、地上から降ってくるゴミを回収してそれを加工しなおし、地上の者らに売りさばくという独自の経済圏を持っている。
自分を知る数少ない生き残りの一人ジーナとも再会し、もう一人の生き残りタップがその日行われる回収に参加するという事を聞かされる。ほかのブルーカラーたち同様に回収を見守り、今回も何名もの犠牲者が出る。
回収は無事終了する。
そこへ、ヴィンセントと名乗る人物が現れる。ヴィンセントは、クルードの民を守護する集団のリーダー的存在で、子供を残せない不能な男たちを鍛え上げ決闘者として街へ送り出す代わりに対価を受け取るという苦渋の決断を行ってきた人物であった。
彼はよそ者のヨナに対して決闘を申し込み、ヨナの戦闘術から教え子たちの面影を密かに感じると彼を許した。
回収が終わると、クルードは失われた技術により、かつての地下歓楽街としての顔をのぞかせる。空腹で、いつ死ぬかもわからないブルーカラー達は日ごろのうっ憤や不安をそう言った方法で薄めながらなんとか生き延びていたのだ。
ロジカがヨナを種を繋ぐ手伝いに誘うがあらかじめ断るように言われていたヨナは断る。
そんな彼を、なにものかが誘拐する。その人物が言うにはエリスとかかわりの深い人物と合わせたいという。言われるままクルードのどこかに連れてこられたヨナはそこで、ブルーカラーたちの長老ラヴィ氏と対談する。ラヴィ氏はヨナの未来を占い助言を授けて彼を解放する。
その区画は大勢の妊婦が生活する、クルードで最も安全な場所だった。そこで妊婦の一人レトと出会う。彼女の世話をしながら、ヨナは彼女たちが持つ厳しい宿命を垣間見る。
しばらくの後、加工した回収品を売るためのマーケットの準備に追われるクルードにたどり着いたヨナとレトは、まじかでその様子を観察する。
マーケットは滞りなく終わったが、どういうわけかまだこの地に訪れるものがあった。それも一人や二人ではなく大勢。彼等は平和贈呈局員で、とあるブルーカラーに盗難された街の動力源を取り戻しにこの地に訪れたのだった。
増えすぎたブルーカラーたちに難色を示す者たちも多く、そのため、この時ブルーカラー達は見つかり次第即射殺された。
身重のレトを連れて何とか逃げ惑うヨナ。
ブルーカラーたちの反撃にも巻き込まれながらもなんとか逃げ続けるが、途中レトが産気づいて生まれたばかりの子供をヨナが受け取り彼は赤子を祝福する。しかしその甲斐なく赤子は間もなく死んでしまう。
一時的に彼は不安定になるがそこにエリスが駆け付けて、ともに逃げる事になる。
専用のエレベーターでクルードを去る二人だったが、到着した部屋には平和贈呈局員たちが待ち構えていて、二人は別々の施設に囚われてしまう。
拷問担当官として新たな任を得たヨナは、一日中ブルーカラー達を拷問し続けた。
街の秘密を知るスリオ卿と呼ばれる人物がメイドロボの身体を借りて現れ二人を救い出して自分の元へ案内する。そこへ、指輪の反応を頼りにブルーカラー勢力のリーダーであるソロモンが現れる。
ソロモンは、ヨナとエリスに逃げるように言う。
二人はそれに従い二人を乗せた車はハイウェイを走った。
しかし、平和贈呈局員たちに追いつかれついには包囲されてしまう。
ヨナは覚悟を決めて、猛スピードで走る車をハイウェイから転落させる。
その衝撃で、車に搭載されていた一部の機能が復活し、車は空を自在に飛んだ。二人はそのまま街を後にして、彼等の背後で巨大な爆発が2度起こる。恐らく、一つはスリオ卿の居場所で、もう一つはクルードのとある場所で。
食料も水もない状態で先にエリスが動かなくなる。ヨナにも限界が迫るが、ある朝、彼は生きた小さな鳥を見つける。
その後を追うと、荒れ果てた荒野の一部に緑色の大地を発見し、鳥はそこへ向かったのでヨナもそこへと向かう。
エリスを背負い、鳥を追い、やがて彼は美しい場所へ訪れる。
鳥のさえずりの真下でしずかに最後を待つヨナの前に、少年と少女が現れる。彼等はヨナとエリスに水を分け与え。ヨナの口から彼等へと、この物語が語られる。
公募用 題名:ブルーカラーコンプレックス うなぎの @unaginoryuusei
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