75話から83話 ブルーカラーコンプレックス
意識の遥か外側で震える指先の中にそれはあった。それは、血と粘液にまみれてとても熱かった。忘れたままの呼吸も、瞬きも同様に意識の外側にあった。
近くで発生した閃光に視界が塗りつぶされて眼球に痛みが走る。ふと、辺りがとても騒がしい事を思い出した。自分が生物に見えないように動作を偽装して辺りの様子を慎重に確かめる。
レトは柱を支えに、肩を上下させていた。人々が逃げ回り、平和贈呈局員たちを見た事も無い乗り物(あれはベースメンターという乗り物だという)が、次々と轢き殺していた。死に際に放たれた銃弾が、まるで人の手によって投擲されたが如くゆっくりと此方に飛んできて、頭上で弾けた。殺人的な熱エネルギーの雨が降り注ぐが、なぜか。理由はわからない。
「大丈夫」
熱の最後の一粒が音を立てたのを見計らい、体の影から両手を出して中にあるものを確かめる。すると確かにいた。
崩壊の今際に立ち、こうして、手に触れている間だけ彼女は時間の支配下から抜け出して、生き続けることが出来るような、そんな気がした。
「おめでとう。今日が君の誕生日だ」
何故か、そんな言葉が口から出た。
瓦礫と、回収に使用される道具たちが折り重なるその場所は、他の場所よりも小高くなっていて、少し前から唸りをあげている地下の空調システムは巻き上げられた灰や塵や埃をかき混ぜて吸い尽くそうとしていた。彼女の故郷がよく見えるように立ち上がる。
身体や手に付いた血や粘液にたちまちそれらが纏わり付いた。持ち方を変えて、座って、柱に背中をつけて、同じ景色を見る。それは夕日の港町のようにあたたかい黄金だった。きっと、ずっと、人類はこうしてきて、どこかラヴィ氏の面影を持つ彼女は、彼等の過去であり現在であり未来そのものなのだ。
空調装置が最大稼働した反動で、クルードは照明の明るさを数段落とした状態だった。それでも、まだ消灯しないでいられたのは奇跡でも何でもない、誰かが、新たなレガリア、残された最後の一つにとうとう手を着けてしまったためである。
空気同様、レトは自分の思考が少し前に比べてかなり澄んでいることを実感していた。彼女は、恐らくしばらくの間、動かないままでいる局員をじっと見つめて、唇を引き締めた。この動作は何度目かにもなる。
「・・・ヨナ?」
今度は、ようやく声が出た。いや、むしろ。声が出てしまった。と、言った方が正しかったのかもしれない。一瞬の後悔に暮れるレトの続く言葉をヨナは遮るように言う、その時、彼の視線は下げられたままだった。
「ラヴィ氏に似ていると、思わないか?」
少し前、出会った時と、まるで変わらない落ち着いた声だった。
その手には、巻き上がる汚れにまみれた我が子の姿があった。はじめて誰かに、丁重に扱われる存在を目の当たりにして、レトの胸は張り裂けそうになる、そう遠くないうちに受けた恩を仇で返す瞬間が訪れるだろう。
レトはその瞬間を先延ばしにする事にした。それがよく無い事だと彼女は知っていた。いままで、いつでもそうだった。結果を出す事を先延ばしにして、事実から目を背け続けて、事態が良くなったことなど、ただの一度もなかったような気がする。
「・・・ヨナ?」
「レト・・・!違うんだ・・・違うんだ・・・」
その手のものと一緒に自分の存在すらも隠そうとする若者に対して、レトが出来る事はこの時も多くはなかった。
二人は随分と長い時間、動かないままそうしていた。見えない場所ではいつものように、種を存続させるという共通の目的のために皮肉にも対立した両者の闘争が繰り広げられている。今回の闘争はクルードの人々が局員たちを退けるだろう、しかしながら次も同じ結果になるとは限らない。平和贈呈局員は街の機能が停止しない限り、恐らくは無限に送り込まれてくるのだ。
「お前たち、なにをしてる?」
誰かがそう声をかけた。石のように頑健な体躯にしなやかな身のこなし、腰に携えた殺戮の道具、顔に付いた傷跡。
「・・・ヴィンセント」
大人は勿論の事、子供たちでさえ示し合わせた対応通りに働いているというのに、早々に戦う事を諦めたかのように働かない二人の内の一人がレトだと知るとヴィンセントは、ほんの一瞬足を止めて、その一瞬で状況を理解し、納得したように厳めしく肩を張って、自身から一切の隙を消し去り歩み寄った。
彼は影の中にヨナを収めると、その手の中のものを拾い上げて、小さな刃物で
言葉よりも先に体が勝手に動いて、ヨナはヴィンセントに首元に掴みかかっていた。
ヴィンセントの体は異常なほどに軽かった。すぐ隣の穴の中から手招きするような空気の流れが這い出てきて二人を覆い尽くした。悲鳴や、怒号は、まだまだ止む気配はない。
「君は何をしたのか分かっているのか?」
普段の彼を知っている者ら以上に、ヨナは、このヴィンセントという人間の本質を理解していた。極限状態までお互いを追い込み、そして、生き残るというのはそう言う事なのだ。
つまり、どういう事かと言うと、この男は常に自分の罪をどうにかして他人に裁かせようとする性質が明確に存在するのだ。今回の行動もその性質故の行動であることは疑いの余地はない。ヨナは解っていた。解ってはいたが結局、行動に加えて言葉まで止められなかった。
ヨナは首の締め付けを僅かに緩めた。傾いて、半分天井を仰ぐ目よりも声での弁明を求めたためだ。
ヴィンセントの喉に空気が鋭く吸い込まれて厳格に振動する。
「お前こそ、ここがどんな場所なのか分かっているのか?」
彼は言った。ここでは理由もなく人が死ぬ。と。ならば。
ヨナは右足のつま先で足元に堆積した
『ヨナッ!!!』
エリスだ。
エリスが地面を蹴って駆けてくる。
締め付けられたヴィンセントの首元から徐々に力が失せた。
ヨナは、真っ直ぐこちらに駆けつけるエリスへ一歩踏み出して止まった。
無意識のうちに推し量った声の届く距離まで彼女が近づくと、ヨナの口からひとりでに言葉が出た。
「エリス。すまない、君の妹は・・・」
パチン!!!!
駆けてくる勢いそのままに、エリスはヨナの頬を打った。
視界がぐらりとぶれて、半ば強制的に元に戻り、もう一度彼女を中央にとらえる。小さな口元が引き締まり、その行動が何かを告げようとしている事を物語っていた。
「・・・・・・・ょ!」
ほとんど聞き取れなかった。
ヨナは辛抱強く、同じ言葉が発せられるのを待った。
絞り出されるように、それはもう一度姿を現す。
「なよなよしないでよ・・・!ヨナのくせに・・・!」
それは間違いなく、エリスであった。
「君をずっと探していた」
ヨナは何を告げられたとしても、彼女にそう告げるつもりだった。
「・・・!ごめんね。一人にしてごめんねヨナ」
「いいんだ。君が無事ならそれで」
***
「どこか。痛むところは無いか?」
「ええ、私なら平気よ。あなたは?ヴィンセント?ふふふ・・・ひどい顔、それに、その傷、どうせヨナに手酷くやられたんでしょ?とっても強いのよ彼?あなたの教え子の技を使うんだから」
「・・・。レト。その。お前の子だが・・・気の毒だった」
「いいの」
「なに?レト!まだ諦めるのには・・・!」
「違うわよ。とても悲しいわ。けど」
「・・・」
「あの子がね、祝福してくれたもの」
「しゅくふく?・・・そうか。まるで、奴らしい。何かが違えば、俺たちには、それこそ全く別の未来もあったのかもしれない」
「そうかもね、でも、わたしは今が好き。だって、とっても素敵だもの。この時の為に生きたんだって思うもの。きっと素晴らしい結末を迎えるわ」
「俺にはお前やソロモンのようなロマンチシズムはわからない」
「それはあなたが骨の髄まで生粋のロマンチストだからよ。ヴィンセント」
「俺がか?」
「そうよ。あなたは一日中頭の中で誰かと戦ってる。それがロマンチストじゃなくてなんなのよ?」
「良かれと思い続けてきたが、結局、選んだ手段がこれだ。耳が痛いな」
「その耳、手当てをしましょ?血が出てる」
「ああ、頼む。これからはお前も手順通りに行動するんだ。いいな?」
「わかっているわ。ヴィンセントさぁ少し休んで」
(唸り声)
「ままっ!!」
レトは、こちらへ向かって駆けてくるエリスの肩越しにヨナを見た。きっと仲間の誰一人として気が付かないだろう。あんな顔は仲間たちの誰も出来はしないのだ。
「そう呼んではダメと言ったでしょ?エリー・・・」
「ごめんなさい。レトさん」
「まぁ少し大きくなったのかしら?」
レトはエリスの頭を撫でようとして、汚れた指先を見つめ僅かに躊躇し、湧き上がる愛おしさに逆らいきれずに、やはり、撫でた。
遠く、海の向こうの誰かに向かって波に乗せたレターボトルがしばらくして、また自分の元へと帰ってきてしまった時のような、恥ずかしさと、安心と、喜びがあった。
いけないいけない。
「だめよエリー離れなさい」
「・・・はい」
レトは、しょんぼりと下を向くエリスの肩から、輪郭を指先でなぞって姿勢を直させた。頭がふらふらして、すぐにでも横になりたい衝動に駆られたが彼女は自分と共に歳を重ねた内に秘めた意地でそれをねじ伏せた。
「いい?わたしの一族は骨になるまで歯を見せちゃいけないのよ。もちろん、あなたもよエリー」
「うん。わかってる。けど・・・」
エリスは耐えきれずレトの懐へ飛び込んだ。
塞がりかけていた傷が一斉に悲鳴を上げて、その痛みは自分のものではなくレトのもののような気がした。死体のようにひんやりとして、力なく、痩せた体を、誰かが支えるべきだと思った。それが、自分たちだとも。エリスは仲間達全員が永遠に生き続けるための絵空事や言い訳を思い浮かべては、それら一つ一つに丁寧に土をかけ、花を手向け、埋葬した。
「行かないと」
言葉でそう言って、エリスの腕はレトの体をさらに強く締め付ける。レトはこの時もエリスを甘やかして、何もせず、ただただ時間だけを浪費した。
僅かな嫉妬や、共感、不安、経験不足の仲間へ対する心配と、若い女が失敗して適度に痛めつけられればいいなどと思う意地の悪さ、永遠にこのままでいられる事への切望や、愛おしさがあった。
内側で混然一体となる意識は決して外側に影響を及ぼすことは無い、そこから絞り出されて表現される言葉と行動のみが現実に作用する。レトは、エリスの体を自分から引き離して、顔を見つめた。
今にも泣きそうで、情けない表情をにわかに期待していたが、その期待はすぐに裏切られた。
「そうね。ねえ聞かせて?ヨナの事」
「え?ヨナの事?うん。静かで、いつも動き回ってて、ソロモンに、似てるなって・・・思ったの」
「そう、ソロモンに。あなたはあの人の好きな物を知っている?」
「いいえ」
「そう、わたしは知ってるわ」
「ふふ、聞かないよ?レトさん」
「そう?残念」
「ふふふ。まま」
***
同区画は滅茶苦茶に荒れ果てていた。
原因の一つであるベースメンターは、進路上に立ち塞がるものを容赦なく踏みつぶして転がし、瞬く間に瓦礫の一部に変えてしまった。
物陰へ身を隠していたり、逃げ回っていたクルードの住民たちは、一時的とはいえ、周囲の安全を鋭く察知すると自然と集団を形成し始め、この場所では集団の中心にはヴィンセントの姿があった。
一人一人が指示を得て走り去っていき、つい先ほどマーケットで得たばかりの食料は、踏みつぶされて、塵や灰に塗れたもの関係なく発見され次第活用された。
『おおーい!!おおーーいっ!!!!』
まだまだ、騒乱が止まない方から、一人の娘が駆けてくる。
軽やかな足取りに、張りのある浅黒い肌、しなやかな四肢と細く滑らかな髪。
それは、ジーナだった。
彼女を知る者は彼女の無事を喜び、また同時に、彼女の体の心配をしたが、当の本人は額から滲み出る汗をそのままに集団を割って中央へと突き進んだ。
「ジーナ!さぁこれを」
中央手前で、仲間の女が、見つけたばかりの食料と、破裂した水道から掬い上げた水を手渡した。ジーナは何かを言いかけたが、まずはそれを受け取り、強靭な臓器に流し込んで糧とし、ヴィンセントの袖を両手で引いて言った。
「ヴィンセント!大変なんだ!ロジカが!」
「ロジカが?」
ジーナ、ヴィンセントに続き、その場に居合わせた者らも口々にロジカの名を唱えた。
『お世話』の取り決めがこの街の上層階級と交わされて以降、最も多くの物資を、クルードにもたらした彼女の名を知らない者は居なかったのだ。
集団と少し離れた場所で、別の集団に居たエリスは、ロジカの名を耳にするとすぐにそちらへと向かった。後を追おうと目線を切るヨナ。彼の手が何者かによって捕らえられた。無意識化で何かを悟らせるような、冷えた手だった。
「レト」
ヨナが両手でそれを迎えると、レトは太陽のようにあたたかな微笑みを浮かべていた。
「違うわ、ヨナ。わたしは男に´いくな´なんて絶対に言わないわ。そうじゃなくて、こ・れ」
ヨナの手の間で、レトの手が何かを擦り付けるように動いた。
互いの手の隙間で生まれる異物感にヨナは咄嗟に手の向きを変えて、落とさないようにそれを受け取る。
「レト?これは」
「とても大切なモノ。あなたにあげる」
レトの手が離れてゆき、手の平には黄金の光を映す銀色の輪が乗っていた。
ヨナは咄嗟に真実を告げた。
「俺には相応しくない。俺は君たちの仲間を何人も、殺してしまった」
「そう、これはあなたの
「復讐?」
ヨナは銀色の輪から目線を持ち上げて思わずレトを見た。
自分に向けられた刃のように鋭く、燃え盛るような瞳が一瞬見えた気がしたが、目の前の人物の表情は柔和で確かにレトその人であった。
「なんてね。わたしからヨナへ、ヨナからあの子へ・・・」
「君は、一体誰から?」
『ヨナぁッ!!おい!ヨナっ!!エリス行っちゃったぞ!!!』
ジーナは奇妙な事に、姿が見えていないはずのヨナが近くにいる事を知っていたようだった。
声のした方を見て、再び視線をレトへと戻す。一連の動作はまるで、無垢な子供だ。
「その内わかるわ。さあ行きなさい」
「ああ、わかった。わかったが。レト。あまり目立つ事は、その、しないでくれ」
「まぁ・・・」
「いってくる」
ヨナは踵を返して、歩を進めた。一度集団を抜けると、むせるような騒乱の臭いがそこかしこからした。
***
クルードのとある場所では奇妙な対立が現在進行形で繰り広げられていた。ブルーカラーを見つけ次第、特殊な事例を除き、速やかに射殺するように
「ねえおねがい!もうやめようよっ!」
彼女は両手を広げてそう哀願した。両目いっぱいに滲む涙のせいで目の前の三つの人影は自分よりも何倍も大きいような気がした。彼女の背後にある崩壊した建物の屋根の名残の下には、死にかけているクルードの住民と、なんと、同じように死にかけている平和贈呈局員が横たわっている。無意識のうちに、視線がそちらへ吸い込まれて元に戻る。彼女は、額から頬を伝う汗をそのままに、さらにもう一歩前へと踏み出した。物陰から一部始終を見守る仲間たちは一斉に声を上げそうになり、それと同時に、すぐそばで待機するベースメンターの存在を思いだして行動を踏みとどめる。彼女に何かあれば、ベースメンターが平和贈呈局員を簡単に踏み潰すだろう。そして、平和贈呈局員に何かがあれば、おそらく。
何度も射撃を繰り返して鉄さび色に変色した3個の銃口を前に一歩も引かないブルーカラーの娘、それは偶然にもロジカであった。
「もうやめよ!?もうやめよ?!仕返しをしないって!約束するから!あっ!あっ!そうだ!私ね!お世話になるんだよ!?ほらっ!ねえ!ほら見て!」
ロジカはそう言って、真新しい銀色の髪飾りと、普段は豊かな髪によって隠されている耳飾りを順番に見せて、一度くるりと優雅に回って、美しく礼をした。平和贈呈局員たちはまるで関心の無い様子で立ち尽くしていた。その間も、クルードのどこかでは彼等の同僚たちがなすすべなく命を落としていた。しかしながら、彼等はやはり無関心だった。
ロジカは唇を引き締めて、さらにもう一歩踏み出す。
「私ねっ!スリオ卿のお友達のヒェン卿のお世話になるの!あっ!あっ!まだ決まったわけじゃないの!でもみんながきっとそうだー!って。そしたら私ねいっぱいいっぱい頑張って!お願いするの!あっ・・・でも、きっと、聞いてくれないよね?」
「君はいったいどんなお願いとやらをするんだい?」
ロジカも、それを見守る仲間たちも、ほんの一瞬ではあったが息をすることを忘れて辺りは、全てが死に絶えた世界のような静寂に包まれた。
平和贈呈局員との対話など彼らにとってあり得ない事であったのだ。
真っ先にロジカがよみがえり、声を荒げながら四角い顔から発せられた質問を思い出していた。ついさっき投げかけられた質問は、ずっと過去の物のような気がして、ロジカを過剰に急かしていた。胸のときめきを出来うる限り抑えて彼女が答える。
「わたしね、踊りたいの!スリオ卿も、ヒェン卿もあなた達もみんなで!だってそうすれば、またみんなとだって会えるし・・・ジーナちゃんやエリスちゃんや。タップ。それから・・・えへへ。ヨナにも。あなた達だってきっとわたしたちを好きになってくれる。わたし、どうしてだろう・・・わかるの。きっとそうなるって・・・ほら!」
ロジカは、ボックス。パドブレ。と軽くステップを踏んで、最後に彼女が最も得意とするチャールストンへとつなげた。一連の動作は洗練されて、不安定なクルードの足場の上で行われたとは到底思えないほど滑らかなものだった。そのことが物陰で見守る仲間たちの不安を一層強く煽り立てた。あまりにも美しく、無防備で、目立ちすぎだ。
先頭の者を皮切りに、仲間たちがロジカへと殺到する間際。平和贈呈局員たちは顔を見合わせていた。そして。
ボックス。パドブレ。チャールストン。
『!!!』
3名の平和贈呈局員たちは寸分違わぬ動きで、ロジカのステップを真似たのだ。ロジカは目を輝かせて、それを見た物陰に隠れていた子供たちが飛び出そうとして大人たちが慌てて止める。
「温まってきたっ!」
ロジカはテンポを上げて、異なるステップを踏む。するとまた、3名の平和贈呈局員たちもそれに続いた。
結局、彼女は16の3を踏み抜いて、海底から引き揚げた彫刻のように堂々と姿勢を止めた。3名の平和贈呈局員もそれに続く。
「・・・すごいすごい!!!!」
ロジカは快活になり彼等の元へと向かった。辺りに漂う不穏な空気は仲間達から発せられたもので、局員たちに対する決して相容れない不気味さと、劣等感だった。そのどちらもが彼等にとって初めての確信であり、多くの者がふらつき、茫然と立ち尽くす事しかできずにいた。
ロジカが平和贈呈局員の手を取って言う。
「どうして?!どうして同じ踊りを知っているの?!」
「僕は君と同じように動いただけだよ」
平和贈呈局員は僅かに口角をあげてそう言った。周囲の気配がざわつく。
意に介さず、ロジカは後ろの2名の顔も見つめた。四角く大きな顔は、汗一つかいていない。とても汚れていて、きっと自分もそうなのだろうと思い彼女は急に恥ずかしいような気がした。
「そう・・・すごいんだ」
壁のような人影が僅かに裂けて、そこから言葉が出た。その場に居合わせた全員が注意深くそれを聞く。
「君に聞きたいことがあるんだ」
「君はスリオ卿や」
「ヒェン卿の居場所を知っているのかい?」
「ううん。まだ知らないよ」
「では、『リーダー』はどこにいる?」
「リーダー?りーだー・・・?・・・ねぇ!みんな!リーダーをしってる?」
ロジカの呼びかけに子供たち以外の仲間たちはやはり懐疑的な姿勢を見せた。
「知らないみたい。あっ!ラヴィさんに聞けばわかるかもごめんね」
「そうかい」
「残念だ」
「ああ、とてもね」
「ねぇ、他の人たちも一緒に踊ろ?ね?わたし!もっともっとすごいんだから!」
「その必要はないよ」
「どうして?」
「それを知らない奴以外はみんな殺していい事になっているから」
「え?」
***
『
先刻のジーナ同様、彼の仲間達は殆ど最短距離でヴィンセントを目的の場所へと導いていた。
跳躍、抜刀、着地と同時に地面と一体化し振り抜かれた殺戮の道具は、先頭にいた平和贈呈局員のあばら骨を防刃ベストごと切り裂いて、胴体のちょうど真ん中あたりで停止すると、ぐるりと回転し、体の外へと抜け出した。
「
間髪入れず、ヴィンセントは残る2名にも強烈な打ち込みを見舞った。
恐ろしい打撃音が殆ど一度だけ鳴り響いて、平和贈呈局員たちはぐったりとその場に崩れ落ちた。傷口からようやく血が溢れる頃。周りで見守るブルーカラー達が感じていたのは、仲間の一人であるロジカが幸いにも無事だった事や、ヴィンセントが敵を打ち倒した事への歓喜などでは決してなく、今回もまた彼に罪を背負わせてしまった。という、自責の念と、やるせなさであった。そのような周囲の態度にヴィンセントは慣れていた。彼は、刃にこびりついた汚れを振り落として鞘に納めた。今起きた出来事など、流れ始めた時の激流のほんのひと飛沫に過ぎないのだ。
「ロジカ」
ロジカはその場に呆然と立ち尽くしていた。彼女は、いつも通り頼るべき仲間を探してそれがどこにもいないようなあり得ない錯覚に襲われていた。この時彼女は孤独だったのだ。
偶然近くに居合わせた切り裂かれた平和贈呈局員から勢いよく血が噴き出て顔に掛かりロジカは漸く告げるべき言葉、表さなければならない態度を思い出した。
「酷いよヴィンセント!わたしたちきっと分かり合えたのに!!」
ヴィンセント一歩も動じず。「そうやって悪態を付けるのも、俺がお前を救ったお陰だという事を忘れるな」と、言った。
意図的にヴィンセントの顔を見ないようにしていたロジカであったが、不覚にも彼の顔を見てしまった。細かい皴が沢山出来て、汚れた顔には深い疲労の色がありありと浮かんでいた。呼吸だって乱れている。するとやはり、彼女の内の激しい感情はみるみるうちにしぼんでいった。
「彼等の分まで、お前が生きなさいロジカ」
血だ。ロジカは目に入った血を両手で拭ったのだ。それから彼女は答えた。
「・・・うん。ありがとうヴィンセント。わたし、がんばる。あの人たちにもいつかきっとお花を手向けるね。助けてくれたのにさっきは怒鳴ってごめんなさい」
「さあ」
「うん」
「ジーナも心配している。エリスもだ」
「・・・うん」
・・・・めしっ・・・・!
・・・・みしっ・・・・・!
「なんだ・・・・?ロジカ」
・・・・めしっ・・・・!
・・・みしっ・・・・!
「えっ!?」
「離れていなさい」
ロジカが仲間たちの元へと加わると、ヴィンセントは腰の備えた殺戮の道具を再び鞘から抜き放って、真っ先に目が合った仲間の一人に目配せした。
彼女の腕が鋭く上空を往復して、それを見ていた他のブルーカラー達は追い立てられたかのように素早く行動した。自分たちにはまだやらねばならぬことが山ほどある。仲間の救出、地上へ続く通路の確保、補給品の解放と分配、子供や負傷者の避難と隔離、地上に潜伏する仲間達への伝令、武器の調達。これから、自らに課せられた使命を全うするヴィンセントを見守り、いざとなれば助けるという発想は彼等には無かった。
・・・・めしっ・・・!・・・みしっ・・・・!
辺りに人影は一つもなかった。
踏み鳴らされた故郷は、所々で出血し、悲鳴を上げているような気がした。それは、気のせいではなかったのかもしれない。
いつも見ている風景というものは、ほんの些細な違いであっても気が付いてしまうのだ。それが、目に見えない変化であっても。
「・・・」
ヴィンセントは、遠くで聞こえる仲間たちの悲鳴や破壊音に聴力を研ぎ澄ませた。するとやはり、音の伝わり方に違和感を覚えた。
・・・・めしっ!!!・・・・みしっ!!!
「
一閃。十分な
メシッ!!ミシッ!!!
クルードの居住プレートが軋む音と殆ど同時に、ヴィンセントの体は、重力を軽々と
彼は瓦礫の山に叩きつけられて、堆積していた灰や塵や埃が再び巻き上がる。その中で、待った。もし、自分が相手と同じ立場なら必ず止めを刺しに行くはずだ。
メシッ!!!ミシッ!!
「・・・ほうら来たぞ?」
年老いたブルーカラーの男は、いつものように、抑えきれない感情に身を任せて微笑んだ。相手が無防備になり、わざわざ此方の間合いまで寄って来るこの瞬間。
一閃!
ミシッ!!!
「・・・ッ!」
とはならなかった。利き腕が、折れていたのだ。
顔も見せぬ臆病者め。
ヴィンセントは、この時も微笑まずにはいられなかった。
赤く、熱い物が降り注ぎ、彼は、これが雨なのだと思った。走馬灯の裏で鈍化する現実の姿はまさしく武の極致、あれほど望んでいたはずの死が訪れる今際に立ちながらも、体が見せる景色はまだまだ生きろと言っているかのようだ。笑いが止まらい程に愉快な気持ちだ。全く見えていなかった臆病者どもが熱い火花の雨によって姿を暴かれ困惑しているではないか!
エクスプロイターの火花と共に天から舞い降りる天使に、ヴィンセントは刃を与えた。
空中で覗いた刃が獰猛な青白い光を放つ。
着地と同時に、敵が舞い降りたばかりの天使の姿を捕えて打撃を放つ。
にもかかわらず、当の天使は身体を縮めてまるで無防備だ。
メシッ‼‼‼‼‼
「・・・そうだヨナ。それでいい」
一閃!!
***
完全に切り離された下半身はひとりでに折れ曲がる関節を持った不自由な土台でしかなかった。殺人的な力を持ったそれぞれの打撃も当たらなければ意味がなく、もともと繋がっていた部分を失えばなんであろうと調和が乱れ、正常に動くことは無い。それが斬られるという事だ。
透明化していた襲撃者の上半身がそれぞれずり落ちて、切断面から覗く圧縮された機械からは火花が散っていた。それらの動作が完全に停止すると、ヨナはヴィンセントの元へと駆け寄った。
「ヴィンセント!」
「そんな顔をするな。腕が折れただけだ」
「そうか、彼女たちはいったい?人間なのか?」
「さあな。わからん」
ヨナは、散々とした瓦礫の中からちょうどよさそうな棒を一本と布切れを拾い上げて、ヴィンセントの腕に当てた。
「痛いのは嫌いなんだ」
「大丈夫だ。できるだけそうならないようにする」
ヨナはヴィンセントの折れた骨を本来の向きに伸ばし、肉の中で合わせた。それから、先ほど拾った棒と布で締め上げて固定した。健全な腕とは、特にヴィンセントのように鍛錬されたものとは比べ物にならないほど頼りないものであるが、勝手に垂れ下がる腕よりはよほどましな代物だ。
処置された腕をヴィンセントが
「いい手際だ」
ヨナは、ヴィンセントの手の様子を確認すると預かっていた殺戮の道具を返却した。
「特殊な訓練を受けているんだ」
「俺達から。
「そうだ」
「いいのか?お前はそれで」
ヴィンセントが鋭く睨む、ヨナは気にする様子も無く懐から何かを取り出してクルードの黄金の光に晒した。
「『1週間時計』だ。これが100周したら局員は死ななければならない。例外は認められない。たとえ、養成所の債務返済を終えていなくても」
「そんな事、誰かが決める事じゃないだろう。馬鹿げてる」
ヴィンセントは古い文明の『神』と呼ばれる存在を密かに信仰していた。その一方で、その存在を常に疑ってもいた。彼は常々こう思っていた。かつての人類はなぜこのような不確定な存在を重宝し、時には命をかけてまでも信仰の対象にしたのかと。疑問の答えは未だ見つかる気配すら無い。もしかしたら、そんなものは永遠に見つからないのかもしれない。そう思うと、やはり笑みが零れた。変わらぬ様子で、ヨナが言う。
「君の言う通りだった。死ぬための理由なんていらない」
「そうだ。放っておいてもいずれ人は死ぬ。それまで必死で生きればいいのだ」
『ヨナぁー!ヨナ!』
エクスプロイターの火花で出来た雨がやみ、舞い上がった塵や埃の向こうからエリスがこちらへ駆けてくるのが見えた。
「エリス」
ヨナは真っ先に、彼女を置いて駆けた甲斐があった事を伝えようとした。
「大丈夫。みんな無事だ」
『危ない!!!!!!』
『ヨナッ!!!!』
***
仲間が二人やられたようだが幸いにも生き残っていた平和贈呈局員は、最後の力を振り絞って自らの使命を全うした。
最も近くにいた削除対象に向かって、引き金を引いたのだ。
***
迫りくる脅威に対して、平和贈呈局員は再びトリガーを引いた。視界はぼやけ、腕を持ち上げるだけが精いっぱいだった。もう一人処理できる。そう思った。
「おかしいね」
すっかり変色した銃口から弾が打ち出されることは無かった。彼のエクスプロイターは先ほどの一発で既に壊れていたのだ。彼は最後に、文明が最も恐れるべきモノを目の当たりにしていた。それはエクスプロイターでも、仲間たちを轢き殺したベースメンターでもなく、自身が抱く妄想が覗かれ誰かにそれを観測される事でもない、それは、他でもなく人間が持つ
ヨナは無傷のままその場所に立ち尽くしていた。彼がそうしている数秒の間に、クルードでは沢山の者が命を落とそうとしていた。身近なものでは真っ二つに切り裂かれた平和贈呈局員。それから、ヨナの盾になるように物陰から飛び出したロジカであった。
『ロジカっ!ロジカっ!ねぇヨナ!ロジカが!ヨナ!!』
エリスの絶叫がヨナの元へと届くのは長い長い時間を掛けた後だった。とても遠くで鳴っているような音の意味を悲痛な叫びだと理解するまではさらに長い時間を有した。
「ロジカ・・・ロジカ。何故だ?」
ヨナは濡れた大地に膝をついて温かな手を取った。彼は自分の胸が張り裂けてしまったような錯覚にとらわれていたが、それよりももっともっと重要なものが確かにあった。
人知れずヴィンセントが駆け寄り目を背ける。ロジカは助からない。
ヨナが再びその名を口に含むと、彼女は僅かにほほ笑んで、なきじゃくるエリスにそっと耳打ちした。飛び立つ為の余力を残すように粛々と告げられる彼女の声をエリスは必死に聞き取ろうとした。エリスが何度か頷いてヨナの方を見る。
「ヨナ。ロジカがあなたに言いたいことがあるの?聞いてくれる?」
無言で肯定し近くに寄る、そしてその分エリスが僅かに離れた。手を握り、慎重に体を抱き起すとロジカの瞳に光が蘇る、まるで魔法のように。
「・・・ね・・・よな」
「ああ。ロジカ。聞いている。ちゃんと」
「はァ・・・・はァ。わたし。ね。あなたの事だいすき。ねえ、ヨナ・・・・すきっていって」
「君が好きだ」
「・・・うれしい」
ロジカは静かに目を閉じて、ぽろぽろと涙がこぼれた。
「俺はいま、とても悲しい。ロジカ・・・死なないでくれ」
「ふふ。・・・うふふ・・・・・・・・・らーん、らーら、らーんら・・・・らららら・・・・・・・・」
「ロジカ」
やがて、ロジカは眠るように息を引き取った。
それから間もなく、我慢の限界を迎えたエリスは穏やかな亡骸に顔をうずめてさめざめと泣いた。
ヨナは、加えて反対側の手も取り、胸の下あたりで整えた。幸いにもそれで、痛々しい傷がある程度隠れて、彼女は快活だった時のように見えたのだ。
「エリス。もう行こう。ここは危険だ」
「嫌よ・・・こんなところにロジカを置き去りにするなんて。私、嫌よ!」
「お願いだ。君にはまだやらなければならない事がきっとあるはずだ」
時間をかけて傷がやがて癒えるのと同じく、今の彼女には時間が必要だと感じた。ヨナは言いかけた言葉を一度ためらい、クルードの様子を眺めて覚悟を決めた。上から、続々と新たなゴンドラが降りてきていたのだ。この近くにも。その全てに見え透いた偽装が施されている。
「エリス。きっと、もっと酷くなる」
エリスはそれを聞くと観念したように、魂の抜けた肉体の安らかな顔を眺めて頬を撫でた。冷たく、蒼白であることを除けばそれは、まだロジカであった。
エリスはごしごしと涙を拭き、
「さぁ。この場所はベースメンターに任せて行きなさい」
ヴィンセントがそう言った。多くの意味が含まれた言葉だった。
「・・・うん。ありがとうヴィンセント」
エリスはもう一度ロジカを抱擁し、勢いよく跳ねた。
ヨナもそれを追う。
「待ちなさい」
ヴィンセントはそう言って、駆けだそうとするヨナを呼び止めた。
『ヨナ!』
「すぐに追いつく」
二人はしばらく止まったまま対峙していた。
ヴィンセントが初めに動いて、携えていた武器の一振りをヨナへ差し出す。
「餞別だ。もってゆきなさい」
「・・・!君が使うべきだ俺は・・・」
「『流星刀・
ヴィンセントは鞘から刃を抜き放ちヨナを黙らせた。彼はさらに続ける。
「かつて、二つの星が地上へと落ちる間に出会い、硬く結ばれ一つとなり。そこから打ち出された物だ」
「・・・」
ヴィンセントは時間を逆行させ、全く同じ動作で刃は鞘にしまわれ、その体はピタリと停止した。その動作は、決定的な変化が訪れない限り何度も何度もそれが繰り返されるであろうという直感を見る者に与えた。
ヨナは観念して、それを受け取った。
「とても重い」
ヨナがそう言うとヴィンセントはニヤリと微笑んで踵を返し、騒乱の中へと溶けて行った。それが彼を見た最後であった。
***
「!!!」
「もういい!やめろ!やめろ!止めていい!!」
「ああっ!」
外の様子が鮮明に写し出されているモニターから目を離して、サブロック隊の3名はベースメンターを止めた。彼等は、互いのまるで生気を失った顔を見合って、それぞれの背後に映る原理不明の技術で作られた映像を不快に思った。
俺たちの住処はこんなに小奇麗じゃない。事実、その映像は取り込んだ実際の映像を搭乗者にわかりやすく認識させるために入念な偽造が施されたまがい物であった。当然彼らはそれを知る由もない。
彼等は本来の持ち場から大きく外れて使命の限りを尽くしていた。救った仲間たちはきっと数えきれない人数に上るだろう。そう思うと、不思議と可笑しくなって3人はへらへらと笑わずにはいられなかった。
「へへっうへへっ」
「・・・やったんだよな?なぁ?やったよなすげぇぞこいつはっ!!」
「ああ、上手くやった!上手くっ。はは!」
3人はしばらくそうやって笑いあって、それが段々と
「出るぜ」
機体の蓋を持ち上げて外に出た。僅かに開いた隙間から鋭く差し込む光と共に現実が狭い機内に流れ込んでたちまち充満する。たまらず一人が嘔吐した。別の者が背中をさすり、彼等は、この時も仲間の居る心強さを噛みしめていた。
開放された蓋から3名が顔を出す。
めちゃくちゃになったふるさと、それと、おびただしい数の平和贈呈局員の姿が目に付いた。彼等は、例えば水飲み広場の女たちが良くおしゃべりをしている場所や、崩落した建物の飛び出た棒や、柱の壁面、次のマーケットまでに仕上げる予定だった織物の山の上、空になった補給品箱の中、すっかり散らかった大通りのど真ん中なんかに折り重なるように倒れていたのだ。
血の気の抜けた顔や、僅かに露出した肌は磨いた材料みたいに真っ白で、指などは冷たく固くなって、乾いた指先などは自分たちでは到底作り出せないような質感を持っていた。一人見つければすぐに別の者が見つかった。見渡す限りそのような景色が永遠と広がっているような気がした。見た事も無いような壮大で、不気味で、柱に刻まれた彫刻のように美しい景色であった。
3人はぬめる機体からゆっくりと降りて、お互いの顔を見あってクルードの上空を見上げた。上空からは次々と同じようなゴンドラが降りてきている。
それから、どれくらいの時間がたったのか定かではなかったが近くに降りたゴンドラから平和贈呈局員達が現れた。
3人は言葉すら忘れてしまったかのようにただただ呆然と立ち尽くして、やがて膝をついた。彼等はもうこれ以上殺せなかった。それは、彼等の終焉と同時に、彼等の持つ伝統や文化、道徳が、歴史によって永遠と証明されて来た真理を打ち倒した瞬間でもあった。
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