第47話 学校


「着きましたよ。どうですか?久しぶりのこっちの学校は?」


 アリスは教会に似た校舎を幾つも持つ学校を眺めながら潤一に問い掛けた。


「ああ。なんていうか。懐かしい気分だ」


 潤一も学校を眺めながら感想を口にした。


「ええ!それだけですか?」


「ああっ」


「感慨深さとかないんですか?」


「それは多少はあるな」


 潤一とアリスは他愛もない会話をしながら校舎に足を踏み入れた。


 潤一とアリスは自分達のクラスの教室に向かって階段を登った。


 ちなみに、この世界では学校で靴から上履きやスリッパに履き替える習慣はなかった。


 潤一とアリスは学校の校舎の2階に到着し、大学の講義室のような教室に入室した。


「おー。アリスおはよう!それと、って、潤一!お前、久しぶりだなーー!!」


 金髪の碧眼の美少年が大声を上げるなら、潤一に駆け寄った。


「ヤマト。・・・久しぶりだな」


 潤一は自然と笑顔を溢した。


 この美少年の名前はドウェイン・ヤマト。


 背丈は潤一と同じ、160センチ前半で、すらっとした体型をしている。


 ヤマトはこの世界では潤一にとって1番仲が良い男友人であり、非常に気が合う人物だった。


「本当だよ!今までどこにいたんだよ?何10日も学校に来なくて心配したんだぞ!」


 ヤマトはバンバンと強く潤一の肩を叩いた。


 おそらく、心底心配していたのだろう。


 彼の肩を叩く力は妙に強かった。


 そのため、潤一は痛みを大きく感じたが、流石に耐えた。なぜなら、ヤマトの気持ちが良く理解できたからだ。


「ああっ。ちょっと自分探しの旅にで出たんだ」


 潤一は真剣な表情で嘘を吐いた。


 仕方がなかった。


 自分は違う世界の人間であり、先ほどまで自身の生まれた世界に身を置いていたなんてさすがに口が裂けても言えなかった。


 ちなみに、潤一は彼がこの世界の人間ではないことをアリスにだけにしか話していなかった。


「・・・そうか、そんな時もあるよな!もし、精神的に参った時は俺に迷わず相談してくれよ」


 ヤマトは眉をひそめ、心配そうな顔で潤一の様子を窺った。


「ああっ。そんな境遇に置かれたときは遠慮なしにヤマトを頼るよ」


 潤一はヤマトの親切な気持ちを素直に受け取り、破顔をした後、首肯した。


「おい!潤一が久しぶりに学校に来たらしいぞ!」


「まじか!おおっ!潤一だー!ご無沙汰だなー」


「本当だ!潤一君だ〜」


 多くのクラスメイトが興奮気味に潤一の元に駆け寄り、彼を喜びながら取り囲んだ。


 潤一は周囲のクラスメイト達の声を耳にしながら、思わず笑みを溢した。


 アリスはその光景を微笑ましげに見守っていた。

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