第36話 何が起こったのか?


 前日。生徒会室。


「楽勝よね!いくら、川崎瑠奈でも、あなたの力を借りれば敵ではないわ」


 松本は勝ち誇った表情を遠慮なしに露わにした。


「まぁ、当然だよな。俺の女子人気を甘く見るなってんだ。これで川崎瑠奈に恥をかかせられるぜ」


 片山は上機嫌で意地悪な笑みを作った。


「それにしても、異常に川崎瑠奈に執着してるわね。何か因縁があるの?」


 山本は目を細め、怪訝な顔を浮かべた。


 彼女は片山を何か疑っているように感じられた。


「いや、なんていうかな。ははっ。理由がなくても、川崎に恥をかかせたいんだよ」


 片山は歯切れを悪く、言葉を濁した。


 流石に、瑠奈に壁ドンをして、断られたことは正直に自白できなかった。なぜなら。


「何よそれ。変なの!ねぇ、航平・・・」


 山本は片山を下の名前で呼び、首に両腕を掛けた。


「私だけ、私だけを航平は見てて。でないと、私怒っちゃうよ?」


 山本は不気味な妖艶に口元を動かした。彼女の豊かな胸は片山に密着していた。


「あ、ああ!約束するよ!!俺はお前しか見てないから。だって、俺はお前の彼氏だから」


「本当?じゃあ、いっぱいキスしよ?」


「お、おい。ここどこだと思ってんだよ?学校の、しかも生徒会室だぞ!」


 片山は慌てて、周囲を見渡した。


「関係ないよ」


 刹那、山本は片山の唇を奪った。


 片山は柔らかい感触を口元に覚えた。


 その後、スイッチがオンになった両者は濃厚な熱いキスを堪能した。


 クチャックチャッと生々しくエロい音が室内に響いた。


 数時間後、1人の生徒が生徒会室に入室した。


 潤一だった。彼は担任から生徒会室の鍵を借りたため、生徒会室に足を踏み入れられた。


 潤一は歩を進めるなり、イスを利用して掃除用具入れの天井を除いた。


 そこには白のボイスレコーダーがあった。


 彼は電源をオンにせず、それを手に取った。

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